2001Paris-Dakar Rally
'02 1/14発行


【最終第16レグ レポート】

三菱パジェロ、総合優勝
「チーム日石三菱ラリーアート」
増岡浩、初の総合優勝!


篠塚建次郎は総合3位
クラインシュミット総合2位
フォントネは総合4位
三菱パジェロ、1位から4位を独占
三菱パジェロ、スーパープロダクション部門ディーゼルクラスで優勝 (L・アルファン総合7位)

1月13日(日)  第16レグ SS15
ダカール(セネガル)〜ダカール(セネガル)
リエゾン38km〜SS31km
合計 69km


三菱パジェロ
チーム日石三菱ラリーアート
総合優勝の増岡浩/P・メモン

(写真:1/13 ダカールゴール)

 

三菱トップ10に9台独占
三菱パジェロ、パリダカ参戦20周年を勝利で飾る

 第24回2002年パリ〜ダカールラリー(正式イベント名はアラス〜マドリッド〜ダカールラリー)は1月13日最終日を迎え、大西洋ダカール海岸からラックローズ(バラ色の湖)を1周する第16レグを行い、「チーム日石三菱ラリーアート」、三菱パジェロの増岡浩(41才)がパリからの総走行距離9,432km(内SS4,030km)を通算46時間11分30秒で走り、パリダカ参戦15回目で初の総合優勝を飾った。日本人によるパリダカ制覇は1997年篠塚建次郎(三菱パジェロ)以来2人目。三菱自動車としては1983年のパリダカ初参戦以来7度目の総合優勝となった。総合2位には昨年の覇者クラインシュミットが、篠塚建次郎が3位、1998年優勝のジャン・ピエール・フォントネが4位、三菱チームが表彰台を独占。またカルロス・スーザ(ポルトガル・三菱ストラーダ)が5位、スキーの元ワールドカップチャンピオン、リュック・アルファン(フランス・三菱パジェロ)がスーパープロダクション部門のディーゼルクラスで優勝した。フランスのアラスをスタートした2輪167台、4輪117台、カミオン(トラック)34台のうち、完走がわずか2輪53台、4輪45台、カミオン15台と例年になく厳しいパリダカで、4輪上位10台のうち9台までを三菱車が独占し、三菱の市販車の総合性能の高さを実証した。

前半戦/「チーム日石三菱ラリーアート」増岡浩1月1日から総合首位に立つ


三菱パジェロ
チーム日石三菱ラリーアート
総合優勝の
増岡浩/P・メモン
(写真:1/13 ダカールゴール)

  2002年パリ〜ダカールラリーは2001年12月28日(金)午後7時にフランス北部のアラスをスタートし、17日間、西アフリカ・セネガルの首都ダカールまで9432kmで開催された。凍り付くような気候の中、「チーム日石三菱ラリーアート」の篠塚建次郎、増岡浩、「三菱ラリーアートチーム」のユタ・クラインシュミット、ジャン・ピエール・フォントネの三菱ワークス4台がスタートしていった。
  序盤、ヨーロッパでのショートSSでは、三菱チームは様子を見ながらの慎重な走行に徹した。シャトー・ラスツール(南フランス)の固い石灰岩のコース、マドリッド(スペイン)の泥のコースをていねいに走った後、アフリカに舞台を移してから三菱パジェロの快進撃が始まった。
 1月1日第5レグ、最初のアフリカステージとなったモロッコで増岡が初のSSトップタイムを出し総合1位に浮上、2位には篠塚がつけた。翌2日も増岡は総合トップ、篠塚もそれに続き、日本人の1〜2位をがっちりキープした。昨年の速さを改めて証明するように増岡は3日のSSでもトップタイムを出し、リズムに乗って首位をキープしてライバルを圧倒した。


三菱パジェロ
三菱チームの
ドライバーとコ・ドライバー

 篠塚はパワーステアリングのトラブルに悩まされながら4日の第8レグではSSトップタイムを出し、総合2位につけてトップの増岡に僅差で迫り続けた。クラインシュミットは3日の走行中のドライブシャフト交換など、細かいトラブルに悩まされ続けながらも、総合3位をキープ。5日の第9レグで、増岡は後続に通算11分46秒の差をつけ総合首位を保ち、前年惜しくも逃した総合優勝へ向けて前半戦を終えた。2位に篠塚、3位にクラインシュミット、4位にフォントネと三菱チームはこの時点で上位を独占。
 三菱チームの最大のライバル、ジャン・ルイ・シュレッサー(フランス、シュレッサー・ルノー)は2日にエンジン部分からの出火で車が全焼しリタイア、三菱チームとトップを争っていたグレゴア・ド・メビウス(ベルギー、日産ピックアップ)は前半戦最終日の5日にエンジントラブルで大きく遅れて優勝戦線から脱落した。

後半戦/増岡、篠塚、クラインシュミットのパジェロ3台でデッドヒート

三菱チーム上位を独占
(写真:1/13 ダカールゴール)

 ラリー後半戦は7日、モーリタニアのアタールのループコースで始まった。ラリー中盤は増岡と篠塚、日本人ドライバー同士の熱い戦いだった。8日のアタール〜ティジクジャのコースでは2人が抜きつ抜かれつのデッドヒート。不運にも篠塚は砂丘の影に隠れていたキャメルグラスにぶつかりフロントを破損するアクシデント、続く9日にもスタックでタイムロスし、クラインシュミットと入れ替わりの総合3位に後退した。 増岡が大きく優勝に前進したのは10日、モーリタニアのティシットのループコースを走る第13レグ。この日5回目のSSトップタイムを出した増岡は後続との差を52分09秒の大差に広げた。同じ10日、クラインシュミットは走行中トランスミッションを壊し、交換のために40分余りを費やす痛恨のタイムロスで総合3位に後退。代わって2位に上がった篠塚は8日のアクシデントで受けた背中の痛みとも戦いながらの激走を続けた。
 トップを走る増岡にとってすべてが順調に行っているかのように思われたゴール2日前の11日、2回目のマラソンステージ初日の第14レグで、思わぬミスコース。サハラ砂漠に突然降った大雨。増岡は方向を見失い、20kmにわたって迷い大幅なタイムロス。的確なコース取りでSSトップタイムを出して総合2位に上がったクラインシュミットから33分54秒遅れのタイム。これで一気に18分28秒差まで詰められ、終盤でトップから滑り落ちたまさかの昨年を思い出させるようないやなムードが漂った。しかし、ここで増岡は悪い流れを断ち切り翌日の1月13日、第15レグではSSでトップと3分12秒差の2位タイムを出して、総合でのリードを22分01秒に広げた。そして最終日の13日、最後69km(SS31km)を走り終えて、通算で46時間11分30秒、後続に22分01秒の差で、見事念願の初優勝に輝いた。

日本人のパリダカ制覇は篠塚建次郎に次ぐ2人目の快挙!
 今大会、主催者はパリダカの原点に戻るスピリッツを提唱、エアメカニックが休息日の1回のみに限定され、GPSシステム使用制限のSSも設けられるなど本来のコマ図とコンパスによるナビゲーションを競う試みも取り入れられた。8時間の仮休憩を挟んで2日間連続で走るマラソンステージも2回行われるなど、ドライバーとマシンにとっても試練を強いられるものであった。
 そんな中で「チーム日石三菱ラリーアート」の増岡は安定した速さを見せた。サスペンションなど大幅に改良された新型パジェロを得て今年の増岡は余裕を持って戦っていた。前半は「90%の力」といいながら、次々とSSトップタイムを連発し、あっさりと総合首位に躍り出た。前半最終日の6日になり、初めてフルアタック、難関エル・ベイイードの大砂丘があるコースも「そんなに難しいと思わなかった」と自信に満ちあふれていた。増岡のあまりの速さに驚いたフランスメディアの今年のフレーズは“ロケット・ヒロシ”。難しい砂丘も無難にこなしていった。
 見事昨年の雪辱を果たした増岡はダカールのポディウムでシャンパンファイトしながらナビのメモンと暫く抱き合い、むせび泣いた。日本人として1997年、篠塚建次郎に続く2人目の総合優勝を自らの手で勝ち取った。


ゴールに向かって走る
三菱チームのパジェロ

「チーム日石三菱ラリーアート」増岡浩
 「ラックローズのポディウムに上がって、やっと優勝を実感出来ました。嬉しいです。心からの喜びを味わっています。シュレッサー・チームが早々とリタイヤし、日産もトラブルで遅れました。優勝経験者ばかりの三菱チームのなかで勝つことは、ライバル・チームと戦うのとは違ったプレッシャーがありました。去年の悔しさを晴らすため、1年間トレーニングした甲斐がありました。自分に“勝てるんだ”と言い聞かせ、後半を勝負所と考えていました。長くて短いパリダカでした。日本へ帰ってから嬉しさは倍増すると思います。ファンの皆様、日石三菱を初めとするスポンサーの方々、チーム・スタッフに心から感謝します。去年、砂漠に“置き忘れてきたもの”を拾ってきました。有り難うございます」

「チーム日石三菱ラリーアート」篠塚建次郎
 「ダカールにいます。表彰台に立っています。感激です。競り合うチームが早い段階でリタイヤしましたが、だからといて我々の勝利の価値が薄れるとは思いません。増岡君もクラインシュミットさんも、素晴らしい成長ぶりです。今年のパジェロは安定していました。個人的に残念なのはアタールからティジクジャへの区間(6日)でキャメルグラスにぶつかったことです。しかし、力一杯走ったことで悔いはありません。スポンサーを初めファンの皆様、チームの仲間に感謝します」

「チーム日石三菱ラリーアート」増岡浩インタビュー

―おめでとうございます。
  「有り難うございます。やっと勝てました。ラックローズのフィニッシュに着くまでは、やはり緊張しました。ここで焦ってはいけない。落ち着いて走れ、と言い聞かせながらゴールしました」

―もっとも苦しかったのは?
 「自分では90%の力で走り続け、余裕を持っていたつもりですが、振り返ると厳しさの連続でした。今年は全体を通して、比較的コースの状況は悪いところが多かったです。特にモーリタニアではキャメルグラスの間を縫うところや、ジャンプするようなところが沢山ありました。気持ちよく全開で走れるような砂漠があったのは2、3日でした」
―去年、シュレッサーに割り込まれ、さらに優勝していたのに計時ミスで2位になったこともありましたが…。
  「その悔しさをを弾みにして、頑張った甲斐がありました。砂漠に落とし物をした。それを取り返すという気持ちでトレーニングに励んだ効果がありました。今は幸せな気持ちでいっぱいです」

―車の具合も良かったようですが。
 「ジャンプしてリアが跳ね上がるようなこともなく、とても信頼性の高い車になりました。大きな改造はしていないのがかえって良かったと思います。セリエス監督は走る立場で考え、指示を出してくれるのでとても助かりました。エンジニア、メカニックも信頼できて、自分の走りが出来ました」

―2日前にミスコースがあった。
  「あれは危なかったです。ユタとタイム差があったからいいようなものの、競っていたら逆転されています。昨日、ダカールに着き、95%までは勝てると思いましたが、残る5%が、のリスクをゼロにするよう、今日は慎重に走りました」

―やっと勝てた、と言ってましたね。
 「その通りです。ファン、スポンサー、関係者の皆様のおかげです。これからもチャレンジャーとしての意識を強く持ち、頑張りたいと思います」

 

■ 大会最終日17日目1月13日(日)【第16レグ終了時・最終総合成績(暫定)】 ■

順位
ドライバー
車両(カッコ内は部門)
*タイム
1
増岡浩 三菱パジェロ(2)
46時間11分30秒
2
J・クラインシュミット 三菱パジェロ(2)
22分01秒
3
篠塚建次郎 三菱パジェロ(2)
35分15秒
4
J・P・フォントネ 三菱パジェロ(2)
1時間37分30秒
5
C・スーザ 三菱ストラーダ(2)
5時間20分57秒
6
S・アルハジリ 三菱ストラーダ(2)
8時間24分51秒
7
L・アルファン 三菱パジェロ(2)
10時間40分02秒
8
K・コルバーグ 三菱パジェロ(2)
12時間21分09秒
9
J・J・ラテ トヨタ・ランドクルーザー(1)
15時間48分03秒
10
N・ミスリン 三菱パジェロ(2)
18時間04分22秒
15
浅賀敏則 トヨタ・ランドクルーザー(1)
21時間42分32秒
40
片山右京 トヨタ・ランドクルーザー(2)
54時間58分58秒
42
佐伯直哉 トヨタ・ランドクルーザー(2)
57時間36分48秒
*2位以下のタイムはトップとの差
(1)=プロダクション部門、(2)=スーパープロダクション部門

■ 大会最終日17日目1月13日(日) 【SS15成績(暫定)】 ■

順位
ドライバー
車両(カッコ内は部門)
*タイム
1
G・ド・メビウス 日産ピックアップ(2)
18分24秒
2
L・ボーノン 日産テラノ(2)
2分26秒
3
C・スーザ 三菱ストラーダ(2)
2分38秒
4
S・アルハジリ 三菱ストラーダ(2)
2分38秒
5
篠塚建次郎 三菱パジェロ(2)
3分02秒
5
J・P・フォントネ 三菱パジェロ(2)
3分02秒
7
L・アルファン 三菱パジェロ(2)
3分05秒
8
K・コルバーグ 三菱パジェロ(2)
3分09秒
9
N・バルカ 三菱パジェロ(2)
3分16秒
10
G・ローラ・ラミア 三菱パジェロ(2)
4分15秒
11
T・ドラベルニュ 日産テラノ(1)
4分37秒
12
増岡浩 三菱パジェロ(2)
4分58秒
12
J・クラインシュミット 三菱パジェロ(2)
4分58秒
20
浅賀敏則 トヨタ・ランドクルーザー(1)
6分20秒
36
佐伯直哉 トヨタ・ランドクルーザー(2)
13分15秒
37
片山右京 トヨタ・ランドクルーザー(2)
14分12秒
*2位以下のタイムはトップとの差
(1)=プロダクション部門、(2)=スーパープロダクション部門

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