パリ〜ダカール〜パリラリー
三菱、勇気ある撤退
パジェロは究極のオフロードマシンに進化
年々高速化するパリダカに合わせて、三菱はさらにパジェロを改良した。ひとつは空
力を追求し、ボディ形状の変更とさらに巨大なリヤウイングを装着した。次に従来の
分割型燃料タンクを一体型に変更し、スペアタイヤの増加、マシンの低重心化を図っ
た。さらに350馬力エンジンをフロント・ミドシップに配置することで、マシンの挙
動を最小限に抑える工夫もなされた。挙動安定化は砂漠などの悪路を走破するパジェ
ロにとっては最重要課題であり、そのためサスペンションにもかなりの改良が施され
た。こうして94年型プロトタイプ・パジェロは究極のオフロードマシンへと進化を果
たした。対するシトロエンもZXラリーレイドを熟成、改良し、パジェロ同様のモンス
ター・マシンを作り上げていた。これら二強が参戦した94年パリダカはパリをスター
トし、従来のゴール地ダカールを経由して再びパリにゴールするこれまでにないルー
トが設定された。総走行距離は13,000kmを超え、ヨーロッパで初めてSSが行なわれる
など非常に斬新な大会となった。
同大会に新型パジェロは篠塚建次郎と前年の覇者ブ
ルーノ・サビ-の2台が出場し、アーウィン・ウェーバーとジャン・ピエール・フォン
トネは従来型パジェロで3連勝に挑んだ。しかし、同大会は三菱にとっては不運な大
会となった。序盤は三菱とシトロエンがデッドヒートを繰り広げたが、大会14日目の
マラソンステージで不運なドラマは起こった。あまりの過酷なステージに脱落する選
手が続出し、主催者は競技途中で同ステージのキャンセルを決定。だが、それを知ら
ないサビ-とフォントネは30時間をかけて、この地獄の砂漠を走破した。死力を尽く
して
ゴールに辿りついたふたりに待ち受けるのはSS1-2位フィニッシュの栄誉のはずだっ
たが、彼らが実際に得たものは、無情のタイム無効という通告だった。これに対し三
菱は主催者側に抗議したが、受け容れられず、三菱はラリーからの撤退を決定した。
結果は不運なものだったが、死の砂丘を走破したふたりのドライバーと三菱には称賛
の声が贈られ、三菱パジェロが真の勝者であると各方面で報道された。一方、プロト
タイプ・パジェロの撤退後も市販車改造パジェロが引き続きラリーを続行し、総合4
位(クラス優勝)という輝かしい成績を残した。
総合成績
| 順位 |
Car No. |
ドライバー |
メーカー |
総合タイム |
| 1. |
209 |
P・ラルティーグ |
シトロエンZX |
044:29'27'' |
| 2. |
207 |
H・オリオール |
シトロエンZX |
045:53'02'' |
| 3. |
203 |
P・ヴァンベルグ |
プロトバギー |
056:51'54'' |
| 4. |
217 |
増岡浩 |
三菱パジェロ |
054:04'18'' |
| 5. |
220 |
F・ゲルマネッティ |
日産テラノ |
056:34'23'' |
| 6. |
401 |
K・ロッパイス |
タトラ815 |
061:51'25'' |
| 7. |
201 |
Riviere |
Prototype Buggy |
058:37'23'' |
| 8. |
214 |
G・ビスマラ |
雙龍ファミリー |
057:29'01'' |
| 9. |
235 |
T・ダルモー |
メルセデス500GE |
057:31'52'' |
| 10. |
298 |
B・テン・ハーケル |
三菱パジェロ |
063:05'41'' |
|