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MITSUBISHI MOTORS

田畑を耕し作物を作る喜び 麻生文夫さんと 三菱ミニキャブトラック (1973年型 30年2万km)

※お客様より「ナンバープレートも年月を感じる大切なシンボルなので掲載して欲しい」とのお申し出をいただき、ナンバーを掲載させて頂いております。

新車の喜び

 30年間で、たったの2万km。

 何度も見直してみたけれども、麻生文夫さん(61歳)の三菱ミニキャブ トラックの距離計の数字は20846kmを示していた。メーターが故障して積算しないままになっていたこともなければ、一周したこともないという。いくら軽トラックとはいえ少な過ぎやしないだろうか?

「市内から出たことないからね。一番遠く? ウ〜ン、粗大ゴミになる箪笥を市のゴミ焼却場に運んでいった時かな。ここから5kmぐらいのところ」

 千葉県で農業を営んでいる麻生さんは、30年前にこのミニキャブ トラックを購入した。それまでは、中古の軽トラックを何台も自分で直しながら乗り継いできていた。

「30年は乗るから」

 勤めていた千葉三菱自動車販売(株)の同僚たちに胸を張るかのように宣言したのは、初めて新車を買う喜びの表れだった。

「自分じゃ10年くらいのつもりだったけど、あの時なんで30年と言ったのかなぁ。よく憶えていないですね。ハハハハハハッ」

 よく日に焼けた顔で相好を崩す。

 2013年2月に、その30年を迎える。何が何でも30年乗り続けるとムキになった結果ではなく、気が付いたら30年経ってしまったという感じなのだ。

 家族で先祖代々からの畑と田を耕し、麻生さんは出勤前や休日などに手伝っていた兼業農家だ。米、落花生、ホウレン草、キュウリ、エンドウ豆やソラ豆、ニンニクなどを栽培している。ミニキャブ トラックは、それらの収穫物や農機具の運搬などに使われている。

 他に三菱アウトランダーと奥さん用のミニカがある。アウトランダーの前はデリカやスターワゴンを4台乗り継いできた。

 クルマは仕事の対象だったから人並み以上に興味と関心は抱いている。でも、必要以上に猫っ可愛がりをしたり、過度な思い入れは持ち合わせていない。アウトランダーやデリカなどは専用に建てた屋根の下に停めているし、ミニキャブ トラックは納屋の中に停めている。大切に使っているが、適度な距離感を保っている。

「ホンッとに壊れませんでしたね」
 淡々と話していた麻生さんが"本当に"というところを強調するほどミニキャブ トラックに故障はなかった。バッテリーやワイパーなどの消耗部品を時々交換するだけだった。エンジンが掛からなくなるようなトラブルはなかったですかという僕の質問にも、ウ〜ンッと唸ったままだ。

「掛からなくなったことはないけど、調子悪くなったことはあったかな。でも、プラグとポイントを買ってきて自分で交換して直った」

 昨年、会社を定年退職し、今では"専業"となった。でも奥さんは働きに出ているので、家族としては兼業農家であることには変わりはない。

農家の9割は四駆

 26歳の時、サービス部門から営業部門に配置転換されて忙しくなり、父親が他界したこともあって、畑作の規模を縮小した。

「営業はクルマが売れても売れなくても忙しいんですよ」

 売れれば登録や納車で東奔西走し、売れなければ文字通り営業活動をしなければならないからだ。

 米はずっと作り続けてきていたが、規模を縮小していた畑作を定年退職を機に復活させつつある。中古だが、トラクターとコンバインも買った。

 ミニキャブ トラックが30年間無事に走り続けてきたことに麻生さんも感謝の気持ち以外はないのだが、実は買い替えを考えている。

「このまま75歳くらいまでは畑と田んぼをやり続けたいから、軽トラックをどこかで一回買い替える必要が出てくるでしょう? 新車で買って、使い方が変わらなければ15年は保つでしょうから、ちょうどいいタイミングかなと思いまして」

 なるほど、たしかに頃合いかもしれない。30年に較べれば、15年なんてその半分にしか過ぎない。ディーラーは直して乗り続けろと言っているが、麻生さんはクールにタイミングを見計らっている。

 麻生さんが苦笑しながら続けた。

「最近は、(買い替えられるかもしれないと)クルマも気付き始めたみたいで、あちこち調子が悪くなってきたんですよ」

 ブレーキの片効きや水温の異常上昇、キーの紛失が続いた。キーは納屋のある決まった場所に隠して保管しているのに無くなった。

「クルマだけじゃなくって、他のものも長く使うんですよ。ドライヤーなんて会社に就職した18歳の時に買ったものをずっと使っています。あれは使っているうちに自然とコードが断線しちゃうんですね。だから、自分でコードを2回換えました。電気ガミソリも刃を何度も換えて使っています」

 麻生さんのミニキャブ トラックは4輪駆動版だ。シフトレバーの後ろのレバーで2輪駆動と4輪駆動を切り替えるパートタイム4輪駆動方式だ。

「四駆じゃなかったら買っていなかったでしょうね」

 当時は畑や田んぼの畦道は舗装されていなかったから、雨の後などにスタックしてしまうことがあった。

今でも未舗装部分は残っており、2輪駆動で抜けられない時は4輪駆動に切り替えている。

「年に何回もないんですけど、必ず世話になっていますから必要ですよ。私が知っている限りの農家の9割は四駆の軽トラですよ」

32俵の収穫

納屋からミニキャブ トラックを出して畑と田んぼまで連れていってもらった。

 ボディはとてもキレイでほとんどサビなど見当たらない。タイトな室内と細いハンドル、自動巻き込み式でないシートベルトが年代を感じさせる。反対に、空調やラジオなどのスイッチは現代の軽と違って立派なものが付いている。

「トップでもこのぐらいゆっくりしたスピードでこの坂を上っていきますからね」

 自宅を出て住宅地と林を抜け、1km離れているかいないかぐらいのところに畑があり、その先が田んぼだった。

 8町歩の広さがあり、米が32俵収穫できると説明されたが、僕にはそれが広いのか多いのか見当が付かない。こんなに広いところを一人でやるのは大変そうだ。

「いやいや、今は機械任せにできるから簡単ですよ。これより広くたって、運転するだけだからその分余計に時間が掛かるだけですから」

 なるほど、そういうものなのか。

 左側ヘッドライトの周囲を覆っているグレーのプラスチックグリルが少しだけ欠けている。

「免許取ったばかりの長男が運転して、誤って納屋のシャッターにブツけた時に壊したんですよ。ハハハッ」

 その息子さんも27歳。ミニキャブ トラックの方が年上だ。子供の頃は利根川の河原に降りて荷台に乗って、よく遊んでいた。今では会社に勤めながら、時々、田んぼを手伝ってくれている。趣味のサーフィンで着用する冬用のウエットスーツが納屋の横に干してあった。

「将来、兼業でも専業でも農業を職業にするのならばそろそろ本格的に始めないと憶えられないでしょうね」

 驚くことに、履いているヨコハマ製タイヤは数年前に交換した2セット目だという。1セット目はサイドウォールが硬化することもなくずっと履き続けられ、トレッドが減ったので交換した。

「どんなに疲れていても、田んぼに来ると気が休まるんですよね。ホッとするっていうんですかねぇ」

 自問自答するように麻生さんはミニキャブ トラックの荷台に手を掛けながら語った。

「安心するんですよ」

 その言葉通りに、麻生さんの表情は清々しかった。田畑を耕して作物を作ることに打ち込める喜びに充ちていた。買い替えても買い替えなくても、ミニキャブ トラックの走行ペースは少し上がることだろう。

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