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MITSUBISHI MOTORS

日本一周してみたかった 行弘智倫さんと三菱ミニカ(1995年型 16年25万3000km)

次のクルマを契約してしまった

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未知の男性からFacebook経由でメッセージをもらった。

丁寧な文面を読み進めていくと、その男性は鹿児島県に住んでいて、三菱ミニカを16年25万3000km乗り続けているという。

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軽自動車で16年25万3000kmも走るなんてスゴい。きっと毎日ある程度の距離を乗らないと、そんなに伸びないのだろうな。いったい、どんな乗り方をしているのだろう?

興味は持ったけれども、鹿児島は遠い。飛行機に乗ってさえしまえば、行き先は関係ないのだけれども、その男性は空港から近くはないところに住んでいる。だから、いつか別の取材で九州に行くような時の前後に寄れたらいいかなと考えていた。

しかし、メッセージのやり取りを続けていると、ミニカの次に乗るeKワゴンをすでに契約してしまったことがわかった。そのeKワゴンは中古車なので、乗り換えるつもりならばすぐにでも可能なのだという。

eKワゴンといえば、昨年の三菱自動車工業の燃費不正問題で最初に対象となったクルマではないか?

なぜ、eKワゴンを買うのか?

それとも、あえてeKワゴンを選んだのか?

がぜん興味が沸いてきたし、早くしないと下取りに出されてしまう。

もう、"別の取材の前後に"などと悠長なことは言ってられない。さっそく鹿児島行きの飛行機に飛び乗って、予約したレンタカーで男性の元に向かった。

男性は、行弘智倫さん(48歳)。現在、介護施設に勤務しているが、その前はカメラマンとして仕事をしていた。

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「やっぱり、ゼロ戦の色ですね」

事前に送ってもらった画像の通り、ミニカのボディカラーは濃いグリーンだった。

行弘さんのミニカは、2ドアで5速MTというシンプルな仕様。こういう軽自動車は最近では珍しくなってしまった。

メーターパネルもシンプルそのものだ。距離計を見ると、32万0331km。走行6万7000kmの中古車で手に入れた。

錦江湾を見渡す丘に登り、ミニカを停めて、これまでの行弘さんのミニカとの生活について聞いた。

「はじめは、ある程度走ったら別のクルマに買い換えてもいいかなと考えていました」

購入した頃は福岡に住んでいて、今でも実家は福岡にある。転職を契機に鹿児島に移った。

「最初は、こんなにたくさん走り続けるつもりはなかったんです。でも、そこから15万km走っても20万km走っても、エンジンは快調だし、ボディもしっかりし続けているのに驚かされました」

ミニカはいつ乗り換えることになっても構わないつもりだったのだ。

「それならば、いっそ乗れるところまで乗り続けてみようという気持ちに変わったのです」

池田湖のイッシー

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ミニカに乗って、池田湖という湖に出掛けた。"イッシー"という巨大水中生物が生存しているのではと昔に騒がれていたことを思い出したら、ミニカを停めた隣にイッシーの像が建てられていた。

鹿児島の印刷会社の社員カメラマンとして働いていたことがあるから、地理に詳しい。池田湖にはイッシーはともかく大鰻が実際に生息していて、それを見学させてくれるドライブインに案内してくれた。

大鰻は一匹づつ水槽に入れられ、大人しくしていた。これが巨大化したら、イッシーになるのかもしれない。

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ちょうど菜の花の季節の最後に間に合った。

もう少し早ければ、菜の花マラソンに合わせて植えられていた畑いっぱいの花々を見られたそうだ。

行弘さんが言う通り、ミニカは快調に走っている。それは助手席からも感じ取れる。MTだからなのか小気味良く走っていく。

海の方に出ると、目の前に大きな山が現れた。三角形のきれいなカタチをしている。

「あれが、開聞岳ですね」

良く見える撮影スポットを案内してくれた。海の向こうに開聞岳が屹立している。

甘食という菓子パンのように、周囲に人がいなくてそれだけが独立している。南側はすぐ崖だ。

長崎鼻という薩摩半島最南端の地も案内してくれた。地元のいいところをすべて見せてくれようとする、好意あふれる人だ。

ミニカの距離が伸びたのは、印刷会社から別の会社に転職してからのことだった。ヘリコプターから日本全国の地上の光景を撮影するプロジェクトに参画した。

ヘリコプターのパイロットとチームを組み、担当する地域を空から撮影する。営業マンが撮影した写真をパネルにして販売するというビジネスだった。

ほぼ1ヶ月単位で担当地区を撮影するので、ウイークリーマンションやビジネスホテルを長期契約し、そこから毎日ヘリポートや空港に通って撮影した。

「最初の1年間は南九州を撮影していましたが、2年目は本州のあちこちを撮りました」

本州といっても、山口県の次は隣の広島県、その次は東隣の岡山県といった具合に規則的に進むわけではなかった。

「岐阜県の次に青森県に移動したこともありましたよ」

宿と空港が近いことの方が少なく、走行距離が早いペースで伸びていった。

「あの2年間で10万km以上走りました」

大きなトラブル三回

ミニカには、これまでに大きなトラブルが三回起きている。

今から4年ぐらい前にクラッチ板が割れた。

「運転中にギアが入りづらくなり、なんとか自宅まで走って帰って来ました。クラッチワイヤーが切れたものだとばかり思っていました」

街の修理工場に出すと、ワイヤーが切れたのではなく、クラッチ板が限界まで薄くなっていて、最後に割れたのだった。

「クラッチ板が割れても、エンジン回転の上下動に合わせてシフトできるものなんですね。家まで運転できましたから」

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二つ目は、左側のドライブシャフトの空転だ。

「買い物に寄ったドラッグストアの駐車場で動かなくなり、修理工場のトラックで運びました。引っ掛かりが摩耗して無くなってしまったのですね」

摩耗が進んでいる兆候はあったので、インターネットオークションでドライブシャフトを購入してあった。それを、工場に持ち込んで組み込んでもらった。

三つ目は水没。大雨で駐車場前の道路が冠水し、突破しようとしてエンジン停止。なんとかエンジンは掛かったが、エンジンルームに水が入ったダメージは深刻だった。トランスミッションは何度も洗浄して使用し続けた。

しかし、行弘さんはトランスミッションもインターネットオークションで入手したものを持っていた。

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「日頃から、チェックを怠らないようにしています。出品された時に手に入れておかないと、後からでは手に入らないこともありますからね」

そうしてインターネットオークションでコツコツとパーツも確保し、修理も街の修理工場と鹿児島三菱自動車販売鹿児島本店の双方とも付き合っている。

「50万kmでも、60万kmでもイケると思っていました。ですから、パーツも買い集めていたのです」

しかし、行弘さんはeKワゴンに買い換えてしまった。理由は何なのだろう?

「パーツの確保が難しくなってきたのと、キャブレターの整備ができるメカニックが高齢化して引退し始めていることです」

決定的だったのは、エンジンマウントが入手できなかったことだ。

「三菱のディーラーでは、あっさりと"もうありません"と言われ、ネットオークションでも見たことがありません」

他のパーツだったら、まだ様子を見ながら乗り続けることもできたかもしれない。しかし、劣化したエンジンマウントが交換できなければ乗り続けられない。

「ゴムと金属でできた、それほど複雑でもないパーツがたった2個手に入らないだけで、こんなに調子のいいミニカを諦めなければならないのがとても残念です」

三菱自動車は矛盾している

ミニカはキャブレターで走っているが、若いメカニックはキャブレターの同時代体験を持っていない。

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「三菱のメカニックだったら若くてもキチンと研修を受けていたり、調整のためのノウハウやデータが継承されているだろうという信頼感は持っています」

昨年、その信頼感から鹿児島本店にキャブレター交換を依頼した。インターネットオークションで入手した手持ちの中古品を持ち込んだ。工賃は1万円だった。

「若いメカニックから"このクルマはパソコンのケーブルをどこにつなぐのですか?"と訊かれたことがありますからね。ハハハハハハッ」

長年、鹿児島三菱自動車鹿屋支店のベテランメカニックにミニカの整備を行ってもらっていた。

「ここまでの距離を走り続けられたのも彼のおかげだったと感謝しています」

しかし、そのベテランメカニックは退職してしまった。

「現在の鹿児島本店とは古い付き合いではないので仕方がないのかもしれないですけれど、もう少し古いクルマのことも気に掛けてもらえるとうれしいですね」

とは言っても、そこで声高に非難したりしないところが行弘さんの大人っぽさだ。

「ま、忙しいでしょうしね」

行弘さんは、「それが今の(時代の)流れ」というフレーズを何度か使って、古い軽自動車を長く乗り続けることの難しさと、またそれに対応しづらいのであろうディーラーの経営を慮っていた。

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三菱自動車工業にも言いたいことがある。

「言っていることと、やっていることが違うと思います。"愛着手帳"や"10年10万km保証"などとパーツ供給が万全ではないことが矛盾していますよ」

確かにそうだ。パーツを万全に供給することはコスト上昇が伴うが、"長く乗り続けているユーザーを蔑ろにしない"ことが自動車メーカーに強く求められる時代にもなったのだ。

ヨーロッパのメーカーの中には、時間は掛かるが、どんなに古いクルマのパーツでも造ってでも必ず供給することを表明したり、昔のクルマのパーツを自社のWebサイトで世界中から購入できるようにしているところが現れ始めている。

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「eKワゴンを注文するに当たって、燃費不正問題はまったく気になりませんでした」

eKワゴンは2013年式の中古。車両価格59万円のものが鹿児島本店で売りに出ていた。

「走行5万kmなのに、ボディにサビひとつなく、エンジンブロックやマフラー、ボディの下回りなどがとてもキレイなのと赤紫色のボディカラーが決め手になりました」

他の店で売っていたアイも検討していたが、総合的に判断してeKワゴンに決めた。

「そもそも、クルマもバイクも実際の燃費はカタログ値の半分ぐらいのもので、それを良くするも悪くするも、自分の乗り方次第だと考えていますからね」

エンジンの調子が良いとは言っても、最近はオイル消費が激しくなっているのが気になるところだ。2000kmで0.5リッター減る。 

「もっと乗りたかった。このクルマで日本一周とかしてみたかったですね」

なにを言うんですか!?

eKワゴンでできるじゃないですか!?

行き先々の風景を思う存分撮影して下さい。それを旅先からFacebookにアップして欲しい。友達になったので、僕のタイムラインに流れてくるのを楽しみにしていますよ。

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