パジェロを復活させる。開発責任者としてこの重責を担うことが決まった時は、期待と不安が入り混じった不思議な感覚でした。三菱自動車を象徴するモデルを設計できる。これほどやりがいのある仕事はありません。同時にパジェロが持つ歴史の重み、さまざまな立場にいる社員の思い、何より世界中にいる復活を熱望するファンの期待を超えるものを生み出すことができるか。いろいろな感情が交錯したことを今でもよく覚えています。
開発にあたりもっとも苦労したのは、開発に携わるすべてのスタッフで「パジェロはどうあるべきか」を共有し、それを具体的なプランに落とし込むことでした。パジェロを名乗る以上、絶対に達成しなければならない性能がある。そのためにはどこを作り直す必要があるか。それを一つずつ確認し、会社の方針も吸収しながら一歩一歩前に進めていくのは気の遠くなる工程です。最初は迷いがあったスタッフもいたでしょう。
しかしデザインの骨子が決まり、それを部品に落とし込むにつれ、すごいものを作っていることが開発陣にも伝わっていくことを感じました。そして最初の試作車を見た開発陣に自信がみなぎっているのを感じた時、私も「このプロジェクトは成功する」と確信を持つことができました。