※お客様より「ナンバープレートも年月を感じる大切なシンボルなので掲載して欲しい」とのお申し出をいただき、ナンバーを掲載させて頂いております。
いつまで一緒にクルマに乗って出掛けてくれるのだろうか?
我が子の成長を願い、気持ちも行動も親離れを願わない親はいないだろう。
どこに行くにもみんな一緒にミニバンに乗っていたのが、ひとり減り、ふたり減って、やがては夫婦だけとなり、ガランとした空間を持て余してしまう。
埼玉県在住の佐々木英明さん、香織さん夫妻には今のところそんな心配はない。21歳の長女がまだ一緒に三菱グランディスで出掛けているからだ。それも、長い旅行にも一緒に。
グランディスには、9年14万8000km乗っている。8年12万km乗った三菱デリカ・スペースギアから乗り換えた。スペースギアが最新のクリーンディーゼルではない古いタイプのディーゼルエンジンを搭載していたため、規制によって都内に入れなくなったり、会社でも古いタイプのディーゼルエンジン搭載車に乗っているのが一人になってしまって肩身が狭い思いをしたりして買い替えた。
20歳の長男はもうあまり親と一緒に出掛けなくなってしまったが、小さな頃からクルマ好きだった。スペースギアを買い替える時も、ショールーム回りに付いてきた。三菱以外のメーカーのミニバンを佐々木さんが気に入り、長男も3列シートの具合などを好きになった。
しかし、そこからの帰りの車中で長男は佐々木さんに問い掛けた。
「でも、三菱を裏切ることになっちゃうよね!?」
そのひとことで佐々木さんも思いとどまることになり、グランディスに決めた。
契約に赴いた時も一緒で、商談ではちょうど佐々木さんは体調を崩してしまっていて、必要最小限の言葉しか発することができなかった。
「ヤマモトさん、そこをなんとかお願いしますよ〜」
関東三菱自動車販売熊谷店の山本店長ともっぱら値引き交渉を行っていたのは、長男だった。
「やり取りがショールーム内の自動販売機に飲み物を補充していた業者の人に聞こえているみたいで、背中が震えて笑っているのがわかりましたから。ハハハハハハッ」
そんなにクルマが好きだった長男だが、20歳になった今でも運転免許証は持っていない。好きだけど運転しないのだ。いかにも現代の若者だ。ここから都内の大学に通学しているから必要性をあまり感じないのかもしれないが、友達が運転するクルマに乗せてもらったりすると満更でもないらしい。
長女は免許は取ったが、全然運転しない。SDカードが送られてきた。
「当たり前ですよね。運転しないのだから、事故も違反も起こしようがない。彼女は親が運転するクルマに乗って、一緒にどこかに行くのは好きなんですよ」
長女は、まだ“歴女”という言葉が流行る前からの日本史好き、城好きだ。2012年の夏には、親子3人で四国を一周して2300km走り、九つもの城を見学してきた。午後7時に出発し、英明さんと香織さんで交代しながら運転し、朝7時には福山に着いていた。
グランディスのカーナビは地図上の任意の地点にピンを打つ表示が可能なのだが、佐々木さんは訪れた城をすべて打ち込んでいる。見せていただくと、四国と本州にビッシリと赤いピンが刺さっていた。
「最初は娘の方が熱心だったのですけれども、そのうち私たちも夢中になっちゃって」
2011年は奈良を回って姫路城を訪れ、2010年は彦根城に行った帰りに北上し、輪島と新潟を回ってきた。
日帰りでも、上越や新潟にはよく出掛けたし、松島には名物の牡蛎を食べに行っていた。
「長距離を走ってもグランディスは疲れないんです」
だから、家族で遠くまで走っていこうという気になるのだろう。
「スペースギアでも、よく遠乗りしていました。買ってすぐに、一週間かけて東北一周しました」
同じ三菱のミニバンでも、スペースギアはグランディスとは少し様子が違っていた。
「スペースギアは運転姿勢が高く、視界に優れて遠くまでよく見渡せたので、ゆっくりゆったりと走りましたね。グランディスは姿勢が低い分、スピードが出ちゃいますね」
香織さんはグランディスの居住性の良さを気に入っている。
「グランディスはゆったりしていて、窮屈な感じがしないんですよね。ドアポケットや小物入れもたくさんあって便利ですよ」
夫妻共通の感想は、走りっぷりの良さだ。
「エンジンの伸びがいいですね。関越の伊香保の上りとかでも、“遅いなぁ”と感じたことはありませんから」
燃費は10.5km/L台。高速でも11km/L台と違いは少ない。
英明さんは18歳で免許を取ると、ランサーEXを買った。
「ランサーEXは自分の感覚に合っていましたね」
その前に父親のデリカ・スターワゴンを運転していたので三菱のクルマには馴染みはあった。ランサーEXの後、何台か乗り換えて、子供もふたりとなったのでミニバンが欲しくなり、スペースギアを新車で購入。香織さんは現在i(アイ)に乗っており、以前はeKワゴンだった。
グランディスはほとんどノートラブルで過ごしてきている。一度だけ、伊豆に行った時にエンジンが掛からなくなり、しばらくしたら掛かって事無きを得たことがあったくらいだ。原因はバッテリーの弱体化。他には消耗品を交換したくらいで、きわめて健康に過ごしてきている。
「手が掛からなくて、安上がり」
購入時に施した5万円の「スターシールド」というボディコーティングが効いているようで、グランディスはキレイなままだ。行き付けの三菱ディーラーで売っている一回600円の“洗車クーポン券”を使ってマメに洗っていることにもよるのだろうけれども、とてもキレイ。キズやヘコミもない。
「車内も掃除してくれる。タイヤワックスも掛けてくれて、あれは良いね。ディーラーに行けば1時間ぐらいは世間話してくるんだから、その間に洗っておいてもらえるんで助かってます」
しかし、もうじき佐々木さん夫妻は乗り換えてしまうのである。発表間もないアウトランダーPHEVを、すでに注文済みなのだ。
「ええ、代える理由はないんですけれど……」
香織さんが訝しげに英明さんの顔を覗き込む。
「そう、理由はないんですよ。私にも、子供たちが大学を卒業するまで、“あと2年は乗る”って言っていたんです。でも、結局、新しいクルマが欲しいだけなんですよねッ」
いますぐに買い替える理由がないのに買い替えてしまうことに、香織さんは苦笑しながらも呆れている。
「沢が流れているようなデコボコの道を抜けてたどり着くような山城にも行くので、車高の高いアウトランダーの方がいいかナと。あと、私は釣りに行くので、時々、釣り場に降りていくのにも、やっぱり車高が高いとクルマを傷付ける心配がなくてイイかナと……」
香織さんからの視線を感じてか、英明さんの口調は若干しどろもどろだ。
「ふ〜ん」
香織さんは、あまり共感していなさそうな様子だ。英明さんがアウトランダーPHEVに買い替える理由を正当化するために、大慌てで列挙しようとしている様子がお見通しなようだ。僕に説明してくれる。
「男と女でクルマに求めるものが違うんでしょうね。ワタシなんか普通に乗れればそれでいいんですけれど、男の人はクルマそのもの、技術とかに興味があるんでしょうね。夢なんでしょうね。でしょう?」
ようやく通じたと見えて、英明さんもひと安心。
「そりゃそうだよ。なんでもいいわけじゃないんだよ」
仲の良いふたりのやり取りが微笑ましい。
グランディスは平日は英明さんの往復42kmの通勤に使われ、休日は遠くへの買い物や前述の通りの家族旅行に用いられている。アウトランダーPHEVはそれをそのまま引き継ぐ。カタログを見るとアウトランダーPHEVのJC08モードでのEV走行距離は60.2kmだから、英明さんはガソリンを一滴も使わずに往復できるかもしれない。200ボルトのコンセントも安価な工事業者をディーラーが斡旋してくれた。
家族旅行での燃料代も大幅に節約できるだろう。僕も、この取材後にアウトランダーPHEVを運転する機会を得たけれども、そのスムーズな走りっぷりと静粛性の高さから長距離走行での高いポテンシャルをうかがわせるものだった。
「今年は青森の弘前に行ってみようかなと思っているんです。それとも、行ったことのない九州にも行けるのかな?」
行けますとも!
ぜひ、アウトランダーPHEVで城巡りの旅を楽しんで来て下さい。きっと素晴らしい旅になるでしょう。
編集後記:
金子氏の取材後、山本店長(関東三菱自動車販売熊谷店)からお送りいただいたアウトランダーPHEV納車時のお写真です。