ミニキャブ、タウンボックス
プロペラシャフト脱着、プロペラシャフトオイルシール交換、 マニュアルトランスミッションとトランスファのオイル点検と交換時における注意事項

下記対象車両のマニュアルトランスミッション及びトランスファのオイル注入不足やオイル漏れにより、 プロペラシャフトの摺動部分が焼き付き、プロペラシャフトが脱落して、最悪の場合、 燃料タンクに振れ回ったプロペラシャフトが接触してガソリンが漏れ、 車両火災に至る不具合が発生しております。
つきましては、プロペラシャフト脱着、プロペラシャフトオイルシール交換、 マニュアルトランスミッションとトランスファのオイルの点検と交換における作業時の注意事項をお知らせしますので、 確実な作業の実施をお願い致します。

対象型式

U60系トラック、バン、ワゴン 2WD 5M/T車および4WD 5M/T、3A/T、4A/T車

プロペラシャフト脱着作業の注意事項

1. 取り外し前作業

フロント及びリヤプロペラシャフトの場合
トランスミッションとトランスファにオイルにじみやオイル漏れによる汚れがないかを確認する。
注意)オイルシールからオイルにじみが確認された場合は、オイルシールを交換すること。
トランスミッションのシフトレバーを「ニュートラル(N)」にする。
トランスファシフトレバーを「2H」にする。・・・ 図1

図1 トランスファレバー切換

図1 トランスファレバー切換

フロントプロペラシャフトの場合は下記項目も実施する。
トランスファのオイルを抜き取る。
アンダーカバーを取り外す。

2. 取り外し

デファレンシャルのコンパニオンフランジとプロペラシャフトのフランジヨークに合せマークを付ける。
(取り付け時の位置合せ用)
コンパニオンフランジのボルトを外した後、プロペラシャフトをトランスミッションまたはトランスファ側に押し
込まないように注意して、スリーブヨークに手を添えて真っ直ぐに引き抜く。・・・ 図2

図2 プロペラシャフト取り外し(取り付け)時の手の添え方

図2 プロペラシャフト取り外し(取り付け)時の手の添え方

注意) デファレンシャル交換時、スリーブヨークをトランスミッションまたはトランスファに差し込んだままにしないこと。
注意) スリーブヨークを当てたり落下させて傷付けないこと。
プロペラシャフトのスリーブヨークとダストカバー内をきれいなウエスで清掃する。
注意) ゴミを付着させないようにすること。
注意) スリーブヨーク摺動範囲内の表面に傷や錆などがある場合は、新品に交換すること。
紙やすりでの補修は厳禁。
トランスミッション及びトランスファ内に異物が入らないようにカバーする。

3. 保管

スリーブヨーク部をビニール袋で覆い、保管する。(きれいな場合、ダストを付着させないため)・・・ 図3

図3 スリーブヨークの保管方法

図3 スリーブヨークの保管方法

4. 取り付け前準備

ターボ車を除く2WD 5M/T車と4WD車の場合、トランスミッションまたはトランスファのダストカバーを取り
外し、内部を清掃する。それ以外は、ダストカバーを外さないで、きれいなウエスで内部を清掃する。
注意)ダストカバーを変形させないこと。
トランスミッションまたはトランスファのオイルシールに付着したダストなどをきれいなウエスで清掃する。
注意)ダストなどをトランスミッションまたはトランスファの内部に入れないこと。

  • 注意)
    下記の場合は、オイルシールを新品に交換すること。
    • オイルにじみがある場合
    • オイルシールのリップの傷や変形がある場合
    • オイルシールに付着した異物が除去できない場合

なお、新車あるいはオイルシール交換後10万kmまたは10年以上経過した場合、オイルシールの劣化の可能性があり、交換を推奨する。

  • ※)
    オイルシール交換時の注意事項を参照

オイルシールのリップ部にトランスミッションまたはトランスファの指定オイルを塗布する。
トランスミッションまたはトランスファにダストカバーを取り付ける。
注意) ダストカバーを傾けて挿入させないこと。変形させないこと。
プロペラシャフトのスリーブヨーク摺動部全周に、トランスミッションまたはトランスファの指定オイルを塗布する。・・・ 図4

図4 オイル塗布部

図4 オイル塗布部

指定オイル
三菱自動車純正ダイヤクイーン
ニューマルチギヤオイル SAE 75W-80(GL-3)
または、
三菱自動車純正ダイヤクイーン
マルチギヤオイル 75W-85W(GL-4)

5. 取り付け

プロペラシャフトのスリーブヨークをトランスミッションまたはトランスファのアウトプットシャフトに対して傾けないよう、スリーブヨークに手を添えて真っ直ぐ挿入する。・・・ 図2,図5

アウトプットシャフトに真っ直ぐ挿入する

図5 スリーブヨークの挿入

  • 注意)
    オイルシールのリップ部を傷つけないようにすること。

デファレンシャルのコンパニオンフランジとプロペラシャフトのフランジヨークのマークを合せてボルト及びナットを規定トルクで締付け固定する。・・・ 図6

図6 プロペラシャフト

図6 プロペラシャフト

  • 注意)
    プロペラシャフトのフランジヨークとデフのコンパニオンフランジ、ボルト、ナットを清掃する。 ねじ部に油分付着の場合、脱脂する。

トランスミッションおよびトランスファのオイル量を確認し、不足の場合は、指定オイルを規定量(フィラープラグ下端)まで注入する。

  • 注意)
    オイルの入れ忘れがないこと。オイル量の不足がないこと。
  • ※)
    オイル点検および交換作業の注意事項を参照

アンダーカバーを取り付ける。

オイルシール交換作業の注意事項

1. 取り外し

ダストカバーを取り外す。
注意)ダストカバーを変形させないこと。
取り外し工具(プーラ)があれば、使用してオイルシールを取り外す。
プーラが無い場合は、先端にビニールテープを2重に巻いたマイナスドライバーでオイルシールを取り外す。
注意)ケース側のオイルシール圧入部やブッシュ部及びアウトプットシャフトのスプラインを傷付けないこと。

2. 取り付け

オイルシールインストーラを用いて真っ直ぐに除々に挿入する。・・・図1
注意)オイルシール圧入部のゴミや汚れがないこと。ゴミや汚れがあれば、きれいなウエスで拭き取る。
注意)勢いを付けてオイルシールを挿入しない。傾けて挿入しない。変形させない。
注意)インストーラ以外を使用しない。

図1 オイルシールの挿入

図1 オイルシールの挿入

  • 注意)
    フロント用とリヤ用のオイルシールを間違えないこと。

なお、フロント用オイルシールに識別「××」表示があり。・・・ 図2

(1)フロント用オイルシール

図2 オイルシール

2)リヤ用オイルシール

オイルシールリップ部に指定オイルを塗布する。
注意)オイルシールに異物を付着させないこと。
ダストカバーを取り付ける。
注意)ダストカバーを傾けて挿入させないこと。変形させないこと。

マニュアルトランスミッションとトランスファのオイル点検作業および注入作業の注意事項

1. オイルの油種とオイル容量について

項目 容量 使用銘柄
T/M T/F
5M/T 除く
ターボ車
2WD 約0.8L(※1)   三菱自動車純正 ダイヤクイーン
ニューマルチギヤオイル SAE 75W-80(GL-3)
または、
三菱自動車純正 ダイヤクイーン
マルチギヤオイル 75W-85W(GL-4)
4WD 約1.8L(※1、※2)
ターボ車 2WD 約1.3L  
4WD 約1.3L 約0.9L
3A/T 除く
ターボ車
4WD (※3) 約0.72L
4A/T 4WD 約0.8L
4A/T ターボ車 4WD 約1.1L
  • ※1)
    PTO付の場合は、0.05Lを追加
  • ※2)
    マニュアルトランスミッションとトランスファが一体構造のため、オイル容量の区別なし
  • ※3)
    ATFの油量点検、交換、銘柄は整備解説書をご参照ください。

2. オイル注入口や点検口及びオイルの交換要領等について

オイルの点検
  • オイルの点検
  • (1)
    オイルフィラープラグを取り外す。
  • (2)
    オイルに著しい汚れがなく、適度な粘度があるか点検する。
  • (3)
    六角棒スパナを使用してオイルがオイルフィラープラグ穴下端まであるか点検する。
  • ここまでオイルが付着いること
2WD 5M/T車
  • (4)
    不足している場合は、オイルをオイルフィラープラグ穴下端まで注入する。
  • (5)
    オイルフィラープラグを規定トルクで締付ける。
    締付トルク:32±2N・m{3.3±0.2kgf・m}
  • 注意)
    ガスケットの組付けを忘れないこと。 変形している場合は、新品に交換すること。
5M/T 4WD 車(除く、ターボ車)
  • オイルの交換
  • (1)
    オイルドレーンプラグを取り外して、オイルを排出する。
  • (2)
    オイルドレーンプラグを規定トルクで締付ける。 締付トルク:32±2N・m{3.3±0.2kgf・m}
  • 注意)
    ガスケットの組付けを忘れないこと。 変形している場合は、新品に交換すること。
ターボ車とA/T車のトランスファ
  • (3)
    オイルフィラープラグを取り外し、オイルをオイルフィラープラグ穴下端まで注入する。
  • (4)
    六角棒スパナを使用してオイルがオイルフィラープラグ穴下端まであるか点検する。
  • (5)
    オイルフィラープラグを取り付け、規定トルクで締付ける。
    締付トルク:32±2N・m{3.3±0.2kgf・m}
  • 注意)
    ガスケットの組付けを忘れないこと。
    変形している場合は、新品に交換すること。