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2018.04

千葉県

残された1年間は十分に楽しみたい

高橋慎太郎さんと
三菱RVR X2 Type-S(1998年型)

012YEARS

0119,000KM

※お客様より了承を頂戴し、ナンバープレートを隠さず掲載させて頂いております。

義父に驚かれ……

相手の親に結婚の承諾を申し出る時ほど緊張するものはない。しかし、親も人の子。初対面の場合は、こちらがどんな人物なのかわからないから向こうだって緊張しているはずだ。

三菱RVRに12年11万9000km乗り続けている高橋慎太郎さん(36歳)も、相手の父親に結婚の許しをもらおうとした時は初対面だった。
幸いに許しが出て、自己紹介や知り合ったきっかけなどを話し始めていくと、相手の父親に驚きの表情が浮かんできた。

「なんだ、君だったのか?
 そうか、男だったのか!?」

高橋さんの妻となった女性とは学生時代に交際を始めてからドライブに行ったり、クルマで旅行に行っていた。そうした時には必ず、彼女が家のクルマに乗ってきて、交代で運転していた。
彼女は、父親や家族には「トモダチと出掛ける」とか「トモダチと旅行に行く」と言っていた。高橋さんのことは紹介しておらず、わざわざ「ボーイフレンドと行く」とも言っていなかった。
だから、父親はてっきり女性の友達だと思い込んでいたのだ。高橋さんが乗っていたオートバイ用のヘルメットやライディングジャケットなどを車内に置いたままにしたこともあり、それは憶えられていた。

「なんだ。娘が言っていた“トモダチ”は、てっきり女性のライダーなのだとばかり思っていたよ。ハハハハハハッ」

人の良い義父さんなのである。

そのお義父さんが乗っていたのが三菱RVRエクシードだった。
やがて、高橋さんが社会人になって自分のクルマを持とうとした時に頭に浮かんだのは、お義父さんのRVRだった。2006年のことだ。

「3~4年間はお義父さんのRVRを運転していて、気に入っていました。バランスが良くて運転しやすいし、シートアレンジなどが使いやすいように良く考えられているのは、いつも旅行で実感していましたから」

お義父さんのRVRは、2代目のマイナーチェンジ後のエクシードというモデル。高橋さんはマイナーチェンジ前の方のデザインが好みだったので、考えた末にマイナーチェンジ前のX2を選んだ。購入したのは、高橋さんの父親が勤務していた中古車店からだった。4万6000kmの1999年型を95万円で購入した。

RVRを選んだ理由は、もうひとつあった。

「彼女もRVRの運転には慣れていたので、他のクルマは選びませんでした」

父親が中古車販売業に携わっていたから、子供の頃からいろいろなクルマに触れてきた。RVR以外のクルマも選択肢に上がったかもしれないのに、RVRを選んだのは高橋さんの彼女思いの優しさによるところもある。

RVRでの旅がふたりの楽しみだった

自分のRVRを購入してからも、旅行にはふたりで良く出掛けた。土曜日にテレビで放映していた五平餅が美味しそうだったので、RVRに飛び乗って岐阜まで食べに行って、日曜日に帰ってきたこともあった。

他にも、東は新潟、福島、西は奈良や四国、島根、九州と毎年遠くへRVRで出掛けた。高橋さんはオートバイにも乗っていて、RVRにオートバイを積んで九州へ向かったこともあった。
250ccのオートバイをRVRに積み込み、奥さんよりも一足先に西に向けて出発。途中でRVRを停め、オートバイを降ろして北上。島根の津和野から日本海に出て萩と岩国を回って広島に戻ってくるというツーリングを敢行した。
翌日、さらに西へ向かい、飛行機でやって来た妻と福岡空港で合流し、そこから二人の旅を始めた。

「阿蘇山に行ってみたかったんです」

福岡空港から長崎のハウステンボスに寄って、雲仙からフェリーに乗って熊本で一泊。翌日、阿蘇山をRVRとオートバイで走って、湯布院で温泉に浸かった。

「湯布院からは、どこにも寄らずに一気に帰って来ました。ゴールデンウィークだったので、渋滞を避けるために夜中に走りました」

ほとんどが車中泊だった。車中泊も夜間走行も、若いからこそ苦痛にならないのだろう。若い頃の旅は、旅していること自体が喜びだから、苦痛に思うことがほとんどない。僕もそうだった。

スライドドアが便利

旅を重ねていくと、RVRの使い勝手の良さやバランスの良さなどを実感することが増えていった。
空き地にRVRを停めて、実演してもらった。
スライドドアを開けると、ベビーカーや子供用の柄が入った傘、タオルなどがたくさん置いてあって、小さな子供のいる家庭のファミリーカーであることが良くわかる。

「まず、スライドドアが便利ですね。左側に余裕のないところに停めても、乗り降りに気を使わなくても済みますから。両側スライドドアだともっと便利なのですけれどね。マイナーチェンジ後の後期型は両側スライドに改められているので、やはりその方が便利なのでしょうね」

RVRは後席が前後にスライドするが、そのスライド幅がとても長い。

「後席を一番前にスライドさせると、ここまで荷室が広くなります。そして、反対に一番後ろまで下げると、後席の空間はここまで広くなるのですよ」

車内の荷物を手際良く片付けながら、高橋さんはRVRの長所を説明してくれる。RVRがスライドシートを持っていることは知っていたけれども、本当にここまで自在に前後に動かすことができるとは改めてビックリさせられた。これならば、長い旅で大いに重宝するだろう。

「お義父さんは、“後ろの席でゆったりしたいからRVRを選んだ”と言っていました。大きなボディではないのに、後席をここまで広くできるシートアレンジメントはこのクルマの最大の長所だと思います」

他にも、後席のヒジ掛けの中が収納スペースになっていたり、その延長部分もまた荷室内でフタ付きのストレージボックスになっている。

「旅行に行っても便利ですし、日常の使い方でも小物を収めることができて助かっています」

高橋さんはドアを閉めて、キーを抜いた。

「ふつうのクルマはこうしてキーを抜いてしまうと窓を開け閉めできませんが、このクルマはできるんですよ」

そう言いながら、キーの開閉ボタンを押して実演してくれた。

「こうやってミラーも畳めるんですよ」

RVRには、たくさんの実用的な工夫やアクセサリーなどが装備されている。実演してくれる高橋さんを見ていると、それらを旅や日常生活でフル活用していることが良くわかった。使い途とクルマがピタリと歩調を合わせているのだ。

「RVRは本当に良くできたクルマです。バランスが良くて、こちらが欲していることをすべてかなえてくれます。居住性、使い勝手がこの通り優れています。おまけに僕としては、“カクいデザイン”が好きなので、ずっと乗り続けてきました」

“カクい”ですか!?

「ええ。カクカクしたカタチは三菱らしくて好きなのです。ハハハハハハ」

RVRのことやRVRで出掛けた旅のことを、高橋さんはとても朗らかに話す。こちらまで楽しい気持ちになってくる。

エンジンオイルの過大な消費

その高橋さんとRVRに大きな変化が訪れた。つい最近、三菱デリカD:5 ACTIVE GEARを購入したのだ。
それというのも、RVRのコンディションがここ数年来思わしくないからだ。具体的な症状としては、エンジンオイルの過大な消費に現れている。

「ゲージで確認し、おおよそ1000km走った頃に300ccぐらいを補充しています」

それと関連し、排ガス中のCOやHCなども増加し始めてきた。
RVRから降ろした荷物を再び積み込み、僕らは千葉三菱コルト自動車販売株式会社四街道店に向かった。
エンジンを掛けるのに、高橋さんは2回に分けてキーを回す。

「エンジンが冷えていると、クランキングがとても長くなります。一度、ACCポジションまでキーを回し、カチカチという音が聞こえたら戻して、もう一度回すんです。燃料ポンプの働きが劣化しているようなのですが、こうすると間違いなく掛かります。自分なりの対処方法です」

いつも車検や整備を依頼している、サービスアドバイザーの岡本誠さんを訪れ、RVRの現状について説明してもらった。
それによると、高橋さんのRVRのエンジンオイルの過大な消費の原因はいくつか推察できるという。

「ピストンリングによるシリンダー内のエンジンオイルの掻き落としがうまくいっていないことが考えられます」

残ったエンジンオイルは排ガスと一緒に排出され、排ガスを浄化させる触媒に付着して機能不全に陥らせてしまっている。
このまま放置していると排ガスが規制値を超え、車検を取得することができなくなる。修理するとなれば、エンジンを分解し、ピストンリングとシリンダー壁がどのような状態にあるか確認するところから作業が始まる。それと並行して、機能不全に陥っている触媒は交換ないし修理しなければならない。

「シリンダーの壁に傷が発生していることも予想できますが、それを直すとなれば大規模な修理を行わなければなりません」

つまり、触媒の交換や修理はどうしても必要で、エンジンも開けなければならない。それも開けただけで済まず、手間と時間と費用のかさむ修理が待っていることがほぼ予想される。

「ここまで、岡本さんをはじめ、こちらのスタッフの皆さんにはとてもお世話になってきました。RVRがどういう状態にあるのか、わかりやすく丁寧に説明してもらいました」

高橋さんが望めば、徹底的に修理をして、RVRの車検を通すことは不可能ではない。四街道店では、RVRに搭載されているGDIエンジンを修理したことがあるし、リビルド品と交換する用意もある。

「お客様がどんな意向をお持ちになっているのか。コミュニケーションを密にして、確かめながら作業を進めていかなければなりません」

娘に夕陽を見せたかった

車検期間はあと1年間残っているが、ずっとクルマを預けてしまうことにもなって現実的ではないだろう。だから、高橋さんは総合的に判断して、デリカD:5を購入した。

「RVRのニューモデルが存在していたら選んだのですが、そうではないのでこれからの自分と家族の使い途に一番合っているデリカD:5を選びました」

高橋さんの使い方では、デリカD:5の下取りにRVRを出してしまうところなのに、駐車場をもう1台分借りてまでしてRVRを手元に残している。

「RVRにもっと乗りたくて悩んでいます。悩んでも自分ではどうすることもできないのですが、残された1年間は十分に楽しみたいです」

四街道店を辞して、デリカD:5を見せてもらった。ピカピカだ。ACTIVE GEARの特徴であるオレンジ色のアクセントが効いている。

「RVRには妻との結婚前からの思い出がたくさん詰まっているので、なかなか手放せません。義父さんが乗っていたことが自分でも乗ることになった縁もあることですからね」

どこまでも優しく、奥さん思い、家族思いなのである。しかし、車検を通すことが困難だという現実は重い。こうして新車のデリカD:5をRVRの横に並べてしまうと、RVRが重ねた齢は一目瞭然だ。

「昨年の夏休みに、11年前にRVRで訪れた島根にもう一度出掛けました。娘に、キララ多伎の道の駅からの夕陽を見せてたかったのですが、曇って見えませんでした。でも、海がきれいだったので、娘は喜んでいました。娘は長距離を走ってもグズ付くことがないので助かります」

高橋さんがRVRと別れ難いのは理解できるけれども、これからはデリカD:5で3人で思い出を作る旅ができるではないか。デリカD:5ならば、RVRでは行かなかったような旅をすることができるはずだ。その旅は娘さんにとってきっと掛けがえのない旅になるはずだろう。

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