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2019.01.25

奈良県

EVは乗る人のライフスタイルを変えてくれます

平本英人さんと
三菱i-MiEV(2015年型)

03YEARS

0144,000KM

※お客様より了承を頂戴し、ナンバープレートを隠さず掲載させて頂いております。

EV独特の走行感覚

3年前に登場していただいた平本英人さんから連絡をもらった。
その時には平本さんは1994年型の三菱ミラージュ・スーパーアスティに10年3万6000km乗っていた。偶然というか数奇と呼んだらいいのか、スーパーアスティとの縁の深さを聞かせてもらい感心したのを良く憶えている(その回はコチラです)。

「取材の時に購入したばかりだったi-MiEVが3年で14万4000km走りました」

たしかに、記事にもスーパーアスティと一緒の写真もアップさせてもらった。3年間で14万4000kmとは、ずいぶんと速いペースではないか!
さっそく時間を作ってもらって、奈良まで会いに行ってきた。
待ち合わせ場所の奈良三菱自動車販売西大和店に赴くと平本さんはすでに到着していた。シルバーのボディに蛍光イエローのデカールをたくさん貼った平本さんのi-MiEVの姿は良く憶えている。

平本さんがi-MiEVを購入した時の担当者でもある同店の前川和弥店長を紹介された。
i-MiEVだけでなく、スーパーアスティも西大和店に面倒を見てもらっている。

「西大和店のスタッフと前川さんの細やかな心遣いにも日頃から感謝しています」

スーパーアスティの車検時にマフラーを交換することになったが、パーツ在庫がなかった。前川さんはサードパーティ製の車検対応マフラーをワンオフで作製してもらうように手配し、無事に車検を通過させた。

「店長はEVに詳しいので、同席をお願いしました」

前川店長は他の接客中だったので、まずはi-MiEVに乗せてもらって付近を走ってもらった。
i-MiEVに乗るのは久しぶりだ。音もなく滑らかに発進し、すかさず力強く加速していく様子はEVならではだ。助手席に乗せてもらっていてもEV独特の走行感覚は伝わってくる。

「カーブをひとつふたつと曲がっただけで、このクルマの安定性の高さがわかります。他の軽自動車とは乗り味がまったく違いますし、i(アイ)とも違います」

ボディを共用している三菱iもエンジンをミッドシップに搭載しているので他の軽自動車とは異なった運転感覚をもたらすが、i-MiEVの個性はさらに強い。

「不満はありません。とても気に入っているので、バッテリーを積み替えてでも乗り続けたいですね」

スーパーアスティという、実用的でありながら運転も楽しもうという人のためのクルマに乗り続けている平本さんらしい選択がi-MiEVだったのだ。走りっぷりの良さが平本さんを魅了しているのである。

振動の少なさが疲労の小ささ

3年前というのはそれほど遠い昔のことではないのだけれども、後日談をあれこれ話しながら走った。
中でも面白かったのが、平本さんとスーパーアスティの話をこのサイトで読んだテレビの制作プロダクションが面白がって、番組にさせて欲しいとコンタクトしてきたそうだ。僕も観たことのある有名な番組で、たしかに番組になってもおかしくはない。

14万km以上走っているとはいえ、新車からの3年なので、メカニカルトラブルなどは発生していない。

「今まで、クルマ自体のトラブルは一度もありませんでした。おそらく、エンジンが起こすような振動がないからでしょう」

なるほど、こうしてi-MiEVに乗っていると振動の少なさはエンジンで走るクルマとは決定的に違う。電気モーターだって回転しているのだからゼロではないのだが、ケタ違いに小さい。

「振動の小ささは、疲労の少なさにも関係していると思います」

それも頷ける。たしかに、パワートレインの振動が少ないから静かで滑らかで、それは疲れも減らしていると、僕もEVに乗ると感じることがある。

"会社の顔"のようなもの

平本さんが独立した歯科技工士として働いている様子はスーパーアスティの回に書いた。歯科医から義歯の注文を受けて製作し、それを納品する。それに付随する業務もすべて妻と手分けしてこなしていかなければならない。仕事だけでなく、子供たちの送迎をはじめとして日常生活の中でクルマは欠かせない。それも1台ではままならず、スーパーアスティとの2台体制だ。i-MiEVの前には軽自動車を持っていた。
平本さんは、ずっとEVには興味と関心を抱いていた。実際に購入するまで4年掛かった。EVそのものだけでなく、メリットとデメリットなどを調べ、さまざまなタイミングを見計らってi-MiEVを購入した。

「他の人が乗らない、ヘンなクルマが好きなんです。ハハハハハハッ」

3年前の時点で、EVという先進的で排ガスを出さない環境性能に秀でたクルマに乗ることの意味は大きいと平本さんは考えた。特に、取引先や世間に与えるイメージは大きなものになる。

「このクルマは、“会社の顔”のようなものです」

i-MiEVで納品や商談に向かったら、必ず、相手とEVの話になるだろう。

「走った感じはどうなのか?」

「何kmぐらい走れるのか?」

「燃料代は?」

普通の軽自動車やクルマでは絶対にそんなことにはならない。
EVを選び、日常的に乗ることによって、環境へ配慮し、新しいテクノロジーに対して積極的だという平本さんの姿勢をアピールすることができる。

もちろん、平本さんの仕事は義歯を造ることで、評価はそこに下される。しかし、それだけでは決まらないのが世間というものの難しいところだ。同業者がたくさんいる中で、自分がどのようにして存在感を示していくのかということは大きな課題だ。それはインディペンデントで仕事をしていく人たちの前に必ず立ち塞がってくる。業種はまったく違うけれども、僕にもとてもよくわかる。

乗らないとわからないこと

西大和店に戻って、前川店長も交えて話を聞いた。

「i-MiEVをお買い上げいただいたお客様は、平本さんのようにみなさん事前に良く知らべていらっしゃいました。」

それでも、他に比較検討するようなEVはまだなかったし、平本さんの知り合いに乗っている人はいなかった。わからないことだらけだった。

「カタログには走行可能距離100kmって書いてありましたが、実際はどうなのか? 維持費は? そして、電欠の不安が大きかったですね」

しかし、買って乗り始めると、それらは杞憂に終わった。

「不安が解消されたわけではありませんが、乗っているうちに次々と発見がありました」

前川店長も初めての経験だった。

「社長から、“i-MiEVで得意先を回って営業するように”と言われましたが、私も初めてのことばかりで乗るまではまったく想像が付きませんでした」

しかし、しばらく乗っているうちにEVならではの乗り方、使い方がわかってくるとそれがとても便利に感じてきた。

「まず最初に、ガソリンスタンドに行くロスがなくなったことには驚きました。私たちのようにディーラーで営業に携わっていると、ほぼ毎日のようにガソリンスタンドに行って給油しているのですが、その往復時間と給油時間がEVではゼロになりましたから。これは乗ってみるまで想像できませんでした」

平本さんが驚いたのは、定期点検での点検項目がとても少ないことだった。

「6か月点検、12か月点検とこちらに出しましたが、エンジンオイルやフィルター、点火プラグ、ラジエーターなどエンジン車では当たり前のものがEVには存在していませんからね」

点検の費用と時間がかさまずに済むし、故障のリスクも少なくなる。

「イニシャルコストは高いけど、ランニングコストは低くなります」

燃料代も大幅に節約できた。i-MiEVの前に同じ乗り方をしていた軽自動車のガソリン代が約3万円だったのに対して、i-MiEVの電気代は約5000円で済んでいる。6分の1に減ったことになる。平本さんは自宅に設置したソーラーパネルによる太陽光発電を導入しているから、ここまでの節約が果たせたのだろう。
ソーラー発電についてや電力会社との契約の詳細などについても伺ったが、ここには書かない。当時とは事情が変わったところもあり、興味のある人は自分で調べてみることをまず勧めたいからだ。平本さんも力説していた。

「エンジン車よりも出費を抑えられるかどうかは、乗り方によって違ってくるので良く調べることが肝心です。近所を中心に毎日乗る人にはEVに乗る経済的なメリットは大きいです」

ソーラー発電装置も整えた

平本さんが、i-MiEVに乗ることによってセカンドカーのランニングコストを大幅に下げることに成功していることはよくわかった。そのために、平本さんは購入前から良く調べ、ソーラー発電装置を整えたりして投資も行なってきたのだ。そして、3年14万4000km走った。

「EVは、“電気自動車”ではありません。“電動4輪車”という新しいカテゴリーの乗り物なのです」

エンジン車と比較して優劣を云々するのではなく、EVはまったく新しい乗り物であるというのが平本さんの確信である。
走行可能距離が短いという宿命的な欠点はあるけれども、それはエンジン車と比較しての話だ。比較しなければ、短いものとして行動していくようになるのではないか?
例えば、思い付くままに出掛けていた買い物なども、まとめて行くとか、充電設備のあるところを中心に行動するとか、エンジン車に乗ることが前提で行動していた生活様式を見直すことでEVならではの乗り方もおのずと導き出せるのではないか?

例えば、約130年前に自動車というものが実用化された時に、それまで人々は馬車に乗っていた。きっと当時も、馬と自動車を比較した議論がエンジン車とEVのそれと同じように盛んに行われていたに違いない、と僕は想像しているのだ。

「走行距離だけでなく、充電インフラの普及などEVにはまだまだ制約が多いことも事実です。制約を“考えないと”乗りこなせない乗り物です。でも、制約もありますが、効率的にしてくれもします。それは移動の効率だけでなく、ライフスタイル全体の効率を上げることになります。EVは乗る人のライフスタイルを変えてくれるのです」

平本さんは、もはや信念とも呼べる強い想いをEVに、そしてi-MiEVに抱いているように僕には見えた。
久々に乗ったi-MiEVだったが、その独特な走りっぷりに改めて感心させられた。最近では、欧米からはバッテリーをたくさん積んだ高性能指向のEVがいろいろと登場してきているけれども、i-MiEVのような親しみやすいコミューター的なEVの存在意義の大きさについても改めて考えさせられたのだった。

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