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2023.04.08

埼玉県

パジェロが再び自由を授けてくれました

小林信次さんと三菱パジェロ(1997年型)

012YEARS

0137,000KM

※お客様より了承を頂戴し、ナンバープレートを隠さず掲載させて頂いております。

世界を革新した

2019年に生産を終了した三菱パジェロの功績の大きさに、あらためて気付かされている。まだ、SUVという言葉のなかった1982年に誕生。最初の功績は、それまで三菱ジープのような限られた需要のために製造されていたオフロード4輪駆動車を一般ユーザーに開放したことだ。

山間部での悪路走行や重量物の牽引など過酷な用途のために存在していたジープなどのオフロード4輪駆動車では望め得なかった乗用車並みの快適性と実用性を備え、おまけにカラフルな内外装色まで用意されていた。

雪道や未舗装路などの走行を容易にしただけでなく日常的な使い途にも重宝されるようになり、筆者の友人の間でもスキーヤーやキャンパーなどがまず最初に飛び付いた。

SUVという呼び名はまだ生まれていなかったが、パジェロはRV(Recreational Vehicle レクリエーショナルビークル)と呼ばれていた。
 
筆者は1980年代にスキーに熱中していて、RVの拡がりとパジェロのスキーヤーからの絶大な支持されぶりは同時代体験してきた。まだ高速道路網も大きくなく、現在ほどには道路の除雪が行き届いていなかったので、パジェロの雪道の走破性能と舗装路での快適性の両立は羨望の的だった。加えて、乗用車並みに完備したエアコンやオーディオなどはゲレンデまでの往復を心地良いものにしてくれ、分割して倒せるリアシートは荷物や同行者の増減にフレキシブルに対応していた。

乗り心地や静粛性などもジープとは大きく隔たっていたので、街から山までの長距離ドライブでも走行中の車内を快適なものにした。オートマチックトランスミッションやパワーステアリングなども当然の装備だった。

見た目は似ているかもしれないけれども、パジェロはジープをはじめとするそれまでのオフロード4輪駆動車とは隔絶した世界を持っていたのだ。

だから、ユーザーとマーケットが放っておかなかった。最初は、他のクルマでスキーやフィールドに出掛けていた、アウトドアスポーツ経験者たちがパジェロに乗り換えていたのが、それを見た人たちが、次第に「パジェロを買ってスキーを始めてみよう」と逆転現象が起きた。実際に、筆者の知人や仕事仲間にいたのだから、断言したい。この時、パジェロは世界を革新し、“ブランド”となったのである。パジェロが生まれていなかったら、こんにちのSUVの隆盛もなかっただろう。

エンジンとボディの希少な組み合わせ

パジェロを4台乗り継いでいるオーナーさんに会った。小林信次さんは1997年型のパジェロを12年13万7000kmあまり乗り続けている。ブリスターフェンダーを持ったショートボディに3.5リッターV型6気筒ガソリンエンジンが搭載されている。

「このボディとこのエンジンとの組み合わせは希少ですね」

ときどき、詳しい人からそう話し掛けられたりすることもある。

小林さんがパジェロに乗って楽しみにしているのは、キャンプや林道ドライブなどで自然の中に入っていくことだ。最近は、勤めている会社の仕事やもろもろが忙しくなって、月に一度ぐらいの割合でしかキャンプに出掛けられていないけれども、昔はほぼ毎週末に行くくらい熱中していた。仲間や妻と行くこともあれば、ソロキャンプも行く。スノーキャンプにも行っている。

「眺めのいいところにパジェロを停めて、お湯を沸かしてコーヒーを淹れて飲む時に幸せを感じますね」

自然への親しみは、ワンダーフォーゲル部に所属していた高校生の頃から始まっていた。オートバイの免許を取ってからは、仲間たちとキャンプや野宿の旅にも出掛けた。しかし、残念なことにオートバイで事故に遭って足を悪くし、登山やハイキングなどを諦めなければならなくなった。

「でも、クルマならば林道を走って、奥の方まで行くことができます」

野山に親しみ始めていた若者には、受け入れがたい過酷な試練だったに違いない。

「不自由を嘆いていましたが、パジェロが再び自由を授けてくれました」

小林さんがパジェロに乗り続ける理由は明確で、それが一貫しているのだった。

パリダカ市販車無改造クラスでも優勝

最初のパジェロは、中古で購入した1988年型の初代L型。2.5リッター4気筒エンジンを搭載し、ATと組み合わされていた。
 
その前には他メーカーのオフロード4輪駆動車に乗っていたが、連続するトラブルから乗り続けることを断念した。オフロード4輪駆動車しか眼中になかったが、選択肢は複数あった。その中から、なぜパジェロを選んだのか?

「パリ・ダカールラリーの市販車無改造クラスで勝ったりしていたのを知っていたので、自分の使い途や乗り方などにも十分に応えてくれるに違いないと考えていました」

たしかに、パジェロはパリ・ダカールラリーで総合優勝も果たしているが、市販車無改造クラスでも優勝していた。当時のパリ・ダカールラリーの注目度は日本でも高くて、地上波テレビでも放映されていたくらいだった。

小林さんのパジェロは期待通りに走ってくれた。

「岩がゴロゴロしているようなオフロードもずい分と走りました。挙げ句の果てに、フレームのクロスメンバーを岩に当てて曲げてしまったこともありました」

最初のパジェロは夏にエアコンが壊れてしまったので、2台目となるパジェロに買い替えた。2.8リッターのV46型。長く乗り続けるつもりだったが、ディーゼルエンジンの排ガスNOx規制のために乗り続けられず、3台目となる3.0リッターガソリンエンジンを積んだV73型パジェロに。しかし、生家に戻って暮らすことになり、ボディの全幅サイズがガレージに収まらなくなるためにパジェロを諦め、初代の三菱アウトランダーに換えた。

「アウトランダーも悪くはなかったんですがね……」

仲間と雪道ドライブに乗っていったところ、アウトランダーはスタックしてしまったのだ。仲間の三菱デリカや他のオフロード4輪駆動車は通過することはできたそうだが、相当な難所だったのだろう。

「アウトランダーには副変速機が装備されていないので、走破できなかったのは仕方がなかったですね」

副変速機のローレンジモードで4輪を駆動する4Lポジションを用いなければ走破できない道など、相当な悪路か普通の人は足を踏み入れないところだろう。小林さんたちはエキスパートだから、あえてそういうところを選んでチャレンジしたのかもしれない。センターコンソールに突き出ている副変速機のシフトレバーで通常の2Hや4Hから4Lにシフトしなければならないシチュエーションというのは、年に数回以下しかないだろう。

「でも、それが大事なんですよ。年に数回しか使わないとわかっていても、必要なんです。イザという時のための信頼感ですから。自分のクルマだけでなく、スタックしている他のクルマを救け出す時にも必要です」

確かにアウトランダーは副変速機を装備しない代わりに、電子制御による高度な4輪駆動システムを備えている。パジェロが三菱ジープ由来の伝統的なヘビーデューティ4輪駆動車であるのに対して、アウトランダーは街中でのオンロード使用を重視した新世代の三菱自動車を代表するSUVだ。どちらが良い、悪いという話ではなく、別々のカテゴリーに属している2台と言えるだろう。

アウトランダーから買い替えたのが、現在のパジェロだった。7万8000kmも走った中古車だった。それまでの3台のパジェロは、紆余曲折があったにせよそれぞれ3年から5年で乗り換えていたが、このパジェロには12年も乗り続けている。

2回分のボーナスで支払った

トランクを開けると、キャンプに行くための道具がトランクと後席一杯に積み込まれている。

「これだけ積んでも、245馬力ありますから速いですよ。その分、ガソリンは使いますけれども」

燃費は街中で5~6km/l。高速道路でも、10km/lいかない。でも、納得して乗っている。

手入れも怠っていない。2018年から19年にかけて、大整備を施した。まず、ディスク交換を含めたブレーキ系統を全部交換。次にダンパーを交換。半年後に、エンジンのタイミングベルトとウォータポンプを交換した。パワーステアリングもリビルド品を見付けてきて交換した。

「2回のボーナスに分けて、掛かった費用を支払いました」

三菱自動車の鴻巣営業所で作業を行なった。当初、小林さんは見積もり金額の高さに逡巡していた。特に、タイミングベルトの交換には21万円も要すると算出されていたので、ためらっていたのだ。

その際に、サービス担当の林 浩平さんの言葉が小林さんの背中を押した。

「このクルマは整備をすれば、まだ乗れるクルマなんですよ。パーツは全部揃っていますから、乗り続けられたらどうですか」

併せて、パジェロのコンディションとそれに対する必要な整備について的確な見立てを示してくれたことで、大整備を行うことを決断できた。

「成果は大きかったです。特に、ダンパーを純正品に戻したことによって、乗り心地がシャキッとしたものになったのはうれしかったです」
 純正パーツのリビルド品か社外パーツの新品か、どちらに交換するかでずっと悩んでいたオルタネーターは快調に発電を続けているので、まだ交換していない。コストを重視して、純正パーツのリビルド品に交換する予定だ。

仲間たちからは、「いつまで乗るんですか?」とジョーク混じりで訊かれることがあるけれども、小林さんの想いは変わらない。

「ずっと乗り続けていても、不思議と飽きが来ないんですよ。最新のクルマが備えている運転支援機能はスゴいと思いますけれども、私は運転している実感を大事にしたいんです」

小林さんのパジェロならば、オンロードとオフロードそれぞれの“実感”をたっぷりと体感できるから、他のクルマではなかなか代わりは務まらない。

林さんが太鼓判を押した通り、パジェロは快調に走っている。先日も、静岡の焼津までパジェロ仲間を訪ねてきた。そこには愛知や広島からも同じモデルのパジェロが集まったというから驚かされてしまう。そうした仲間の存在も小林さんは大切にしている。

小林さんと河原に行って、あらためてパジェロの魅力と実力を振り返ることができた。

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