SEARCH ARTICLE

MODEL AGE

車種の年代

MODEL GENLE

車種のジャンル

PUBLICATION YEAR

掲載年

SEARCH

SEARCH

2025.11.15

秋田県

デリカでは“線”の旅ができた

阿部貴吉さん、和歌子さんと三菱デリカスペースギア(1997年型)

010YEARS

0108,000KM

※お客様より了承を頂戴し、ナンバープレートを隠さず掲載させて頂いております。

雪と熊

秋田に、デリカスペースギアのオーナーさんを訪ねた。
心配していた雪については、事前の電話で教えてもらっていた。
「こちらでは、最初の雪はだいたい11月半ばに降ります。少し空いて、12月に入って降り始めた雪がずっと降り続けるんです」
取材時に降られなければ良いがと心配していたが、幸いに降られることはなかった。
しかし、別の心配が起きてきた。熊だ。これまでにない熊の出現による被害が毎日ニュースで伝えられていた。特に秋田での出現が報じられているのを何度も目にした。
以前に、北海道の知床半島をシーカヤックでキャンプしながらウトロから羅臼までの海岸を巡った時に、インストラクターから熊への対処方法と心構えは授けられてはいたけれども、どうやら最近の熊は違うようだ。用心しなければ。

11月中旬の取材当日は良く晴れてくれた。まだ雪は降っていない。秋田空港からレンタカーで向かった。幸運なことにアップグレードされて三菱エクリプス クロスを渡された。
エクリプス クロスにはAppleCarPlayが搭載されていて、自分のスマートフォンとBluetooth接続できた。あらかじめカレンダーアプリに入力してある阿部さんの名前をカーナビの目的地として喋るだけで設定完了だ。音声入力は操作が簡単で、すぐに走り出せるから助かる。
高速道路では、エクリプス クロスの運転支援機能を使って走った。設定した最高速度と車間距離を守りながら、前方を走るクルマに追従して走るアダプティブクルーズコントロールと、車線からはみ出そうとするとハンドルを戻す操作をアシストしてくれるレーンキープアシストを活用した。特に初めて走る高速道路や自動車専用道では、安全と余裕を少しでも確保するよう運転支援機能が重要な役割を果たしてくれる。

きれいに乗られている

一般道に降り、山を越え、トンネルを抜けていく。川沿いをしばらく走った先の田園地帯に入り、目的地が近くなってきた。
デリカスペースギアは離れたところからでも、すぐに目に入った。阿部さんがご自宅前に停めて、奥様と一緒に待ってくれている。挨拶もそこそこに、さっそくデリカスペースギアを見せてもらった。

もともと車高の高いクルマだけれども、さらに高く見える。
「買った時には、リフトアップされていました」
すでに車高が2130ミリに上げられていた中古車を、阿部さんは購入していたのだ。標準状態では2070ミリで、60ミリのアップは陸運支局への構造変更手続きも済んでいる。
リヤに装着されたシャベルやルーフキャリアなどが、このクルマがアウトドアアクティビティで使われていることを物語っている。フロントのバンパーガードはアクセサリーで、簡単に脱着可能なものなのだそうだ。今年の「三菱スターキャンプ」にも参加している。

車内を見せてもらうと、1997年に造られ、阿部さんにほぼ毎日乗られているのにもかかわらず、シートの布地がきれいでほとんど傷んでいないのに目がいってしまう。

外観は年式相応なのに、車内がきれいなのは丁寧に乗られているからなのだろう。
助手席に座らせてもらうと、床が高く、ラダーフレームとモノコックボディを一体化させた車体の成り立ちを感じられる。

エンジンをかけ、見晴らしの良い丘の上まで連れて行ってもらった。
雲が出始めていたが、空気が澄んでいて、遠くの山々まで見渡せる。ディーゼルエンジンの力強い低速トルクを活かしながら山道を登っていく。
途中でアスファルト舗装がなくなり、凹凸のある岩と土の上を進むことになったが、オフロード走行性能に優れているから何の問題もない。
このぐらいの未舗装路では4輪駆動に切り替える必要もなく登っていく。頼もしいかぎりだ。
視界が大きく開けて、丘の上まで出た。左前方の林の中から、草が揺れて何かが出てきそうだった。
熊か!?
身構える間もなく、それは狐だということがわかった。狐はこちらに気づき、一瞥した。一瞬だけ歩みを止めたが、早足でその先の茂みに消えていった。
「熊じゃありませんでしたね!」
3人で安心しながら笑った。熊が現れなくて良かったが、野生の狐を見るのは初めてのことだった。
デリカスペースギアを停めて、外へ出た。エンジンを切った後の静寂と降雪時期直前の冷たい空気が心地良い。
パン!
突然、大きな破裂音がした。阿部さんが熊避け用のおもちゃのピストルで火薬を炸裂させたのだ。
「100円ショップで買いました」

実は2台目

このデリカスペースギアは、阿部さん夫妻にとって実は2台目のデリカスペースギアだ。
それまでステーションワゴンに乗っていたが、娘の誕生を機に車内空間の大きなミニバンに乗り換えることにした。デリカシリーズの走破力の高さを知っていたので、中古のデリカスターワゴンも販売店に見にいって、試乗もした。
「後ろの席に乗っていると、段差を乗り越えた時の跳ね返りが強く感じられ、小さな子供と乗るには向いていないと考えて、そのスターワゴンは選びませんでした」
そして、新車のスペースギアを購入した。1997年のことだった。
娘の成長とともにデリカスペースギアはあり続けた。
「娘が小学校から大学まで剣道をやっていて、小学生の頃は送迎車として大活躍してくれました」
他の家庭の子供たちも一緒に乗せて大会や練習試合に出掛けていた。
「車内はワイワイと賑やかでしたが、気がつけばみんな眠りに落ちてしまっていたり。思い出がたくさん詰まっていました」
親戚の子供たちなどを乗せる時などもあり、大勢乗れるクルマを選んだのは間違いなかった。
しかし、そのデリカスペースギアは気の毒なことに事故で追突され、廃車せざるを得なくなってしまったのだ。
2011年の冬、昼に走っていたらホワイトアウト現象が起こり、一瞬にして周囲が真っ白で何も見えなくなった。前のクルマに合わせてゆっくりと停止したら、後ろから走ってきて止まり切れなかった2トントラックに追突されてしまった。
「そこは追突事故の“名所”らしく、その日3回目だったそうです」
追突してきた2トントラックは建設現場の足場用の鉄骨を荷台に満載していて、その重量も止まり切れなかった原因だったのだろう。運が悪かったとしか言えない。
デリカスペースギアが横を向いてしまうほど衝撃は強かった。ボディは大きく歪んだ。積載車で運ばれていった先の三菱自動車ディーラーの従業員から慰められた。
「デリカスペースギアじゃなかったら、ボディはもっと酷くツブレて、足をはさまれていたでしょう」
まさに不幸中の幸いだった。
「豪雪地帯なので、4輪駆動で車高の高いクルマでないと日常的に乗れません」
道路は除雪されるが、風が強く吹くと除雪車が来られなくなり、せっかく除雪された雪も吹き上げられて、再び、道路に積もってしまったりするから油断できない。
猛吹雪の中、雪だまりに埋もれたクルマや田んぼに落ちたクルマなどを引っ張り上げたことも数え切れない。

鹿児島を往復した

事故の後に、ディーゼルで4輪駆動の、デリカスペースギアではないミニバンに買い直してしばらく乗っていたが、それも側面から衝突されて、乗り続けられなくなった。2台続けての不幸だ。もしその頃に阿部さんと知り合っていたら、掛ける言葉も見つからなかっただろう。
そして、次に購入したのが、このデリカスペースギアだった。
「1台目と同じハイルーフが欲しかったので、ずいぶんと探しました」
インターネットを検索し続け、休みの日には山形県や宮城県などにも足を伸ばして探した。同じハイルーフで、同じ年式のクルマを見付けて買うことができた。
「クルマは代わってしまいましたが、思い出は代わりません。一緒に過ごした時間を大切にしたいという気持ちで、もう一度乗ることに決めたのでした」
それから10年が経ち、約10万8000kmを走った。通勤と休日の足として、ほぼ毎日乗っている。娘は独立して、自分の家庭を持っている。
春や秋には、奥様の和歌子さんと2人で自然の中に出かけている。キャンプやカヌーを楽しむことが多い。
「思いついた時に、すぐに出かけられるところがいいですね」
行き先は東北や北海道、関東地方などが多いが、昨年の夏は鹿児島を1週間かけて往復した。
「道の駅で車中泊したりもしました。車中泊をすれば、人気の観光地にも朝一番で訪れられるので、混まないうちに楽しむことができます」
行動の自由度が高まるので、観光地ではない街の銭湯に入ったり、地元ならではの食べ物を満喫することもできた。
「コンビニで売っていた、“袋入りのかき氷”というものを初めて食べましたが、美味しかったです」
九州を楽しめたのは味だけではなかった。
「九州のラジオ局はそれぞれに個性があって、聞いていて面白かったです」
ふたりは五感を駆使してドライブ旅を満喫したようだ。

「飛行機だと“点から点”への移動となってしまいますが、デリカスペースギアでは“線”の移動だったので、まったく違う旅となりました」
ディーゼルエンジンのグロープラグの寿命が近いので、1本が約2万円と高価なところが気になっているが、まだまだ乗り続けるつもりでいる。雪の季節には頼もしく、雪のない時でも頼りになっている。
「姿勢の高さとディーゼルの低速トルクの力強さで、長距離を走っても疲れません」
来年に生まれる孫に会いに行くのも、今から楽しみにしている。
阿部さんを訪れた翌週、テレビのニュースで秋田に降雪があったことを知った。本格的な冬の訪れだ。

SHARE ARTICLE

記事をシェアする

三菱自動車のラインナップ

三菱自動車のラインアップ

その他の関連リンク

三菱車の歴史

RELATED ARTICLE

関連記事

  • 2012

    宮城県

    "パジェロにして良かった"と感じた時

    伊藤錬太郎さんと
    三菱パジェロ(1988年型)

    025YEARS

    0432,000KM

    VIEW MORE

    VIEW MORE

    VIEW MORE

  • 2015

    福井県

    魚の美味しい道の駅とサービスエリアを教えましょう

    奥山雄司さんと
    三菱パジェロ(2005年型)

    010YEARS

    0101,000KM

    VIEW MORE

    VIEW MORE

    VIEW MORE