マルチリンク式サスペンション車のラテラルロワーアームのガタ点検要領
作業簡易化及び,精度向上のための点検方法を連絡します。
対象型式
E50,E70,E80系(ギャラン,エテルナ,エメロード) F30,F40系(ディアマンテ)
EA0,EC0系(ギャラン,レグナム,アスパイア) D30系(エクリプス,エクリプススパイダー)
使用工具

- てこに使用できる工具(全長270mm程度のドライバー状のもの)
- おもり(20kg程度:ホイール付タイヤ等)
- ダイヤルゲージ(マグネットスタンド含む)
- ノギス又はスケール
点検要領

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(1)車両を直進状態でリフトに搬入する。
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(2)ステアリングホイールが中立位置にあることを確認後、イグニッションキーを抜き、作業しやすい高さまでリフトアップしタイヤを外す。
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(3)ボールジョイントのダストカバーに破れがないか、目視及びカバーを指で押して点検する。破れがある場合は、ラテラルロワーアームを交換する。
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(4)測定中のガタつき防止のため、ブレーキローターをホイールナット2点で固定し、1本が車体真下方向にあることを確認する。
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(5)ハブの中心が作業者の目の高さとなるようにリフトアップする。
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(6)ホイールナット部に20kg程度のおもり(ホイール付タイヤ等)をひもで吊り下げる。

注意
重りを吊り下げる際は,落下しても問題ない高さで吊り下げること。
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(7)ブレーキローターにマグネットスタンドを取付け、図示のようにダイヤルゲージをボールジョイント底面中央部にセットする。(測定のバラツキを小さくするため。)
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(8)工具の先端をナックル(ラテラルロワーアームとコンプレッションアームボールジョイント間のナックル平面部)に当て、ダンパーフォーク通しボルトを支点に、てこの原理を利用してナックルハブ側の持ち上げ(操作力 20kg程度)、下ろし(操作力0kg)を3、4回連続して行い、ガタ量を測定する。その測定による最大振幅値をガタ量とし、限度値をオーバーした場合はラテラルロワーアームを交換する。(限度値については■測定基準の項を参照。)

注意
- ナックルハブ側を工具で持ち上げる際は、工具が外れてけがをする恐れがあるので注意すること。
- 作業中に工具でブーツに傷を付けないこと。(工具を差し込みすぎるとコンプレッションロワーアームのブーツリップを傷付ける恐れがあるため注意すること。)
- 測定結果は指定の用紙に記録すること。

<記録例>
ラテラルロワーアームガタ量
ボールジョイントタイプ:B
左側:0.05mm
右側:0.12mm(交換)
測定基準
ガタ量が基準値を超える場合にはラテラルロワーアームを交換する。
限度値:0.5mm<タイプA>
0.1mm<タイプB>
ボールジョイントのタイプについては下表参照。なお,ギャラン,エテルナ,エメロード(E50,E70,E80系),エクリプス,エクリプススパイダー(D30系)はボールジョイントが2種類あるため,ノギス又はスケールでロワーキャップ部径(図示寸法d)を測定し,確認する。

ボールジョイントタイプ | キャップ部径d (mm) |
限度値 mm (μm) |
---|---|---|
タイプA | 29~30 | 0.5(500) |
タイプB | 32~35 | 0.1(100) |
通称名 | ボールジョイントタイプ |
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ギャラン,エテルナ,エメロード(E50,E70,E80系) エクリプス,エクリプススパイダー(D30系) |
タイプA又はタイプB |
ギャラン,レグナム,アスパイア(EA0,EC0系) ディアマンテ(F30,F40系) |
タイプB |