クランクシャフトプーリーセンターボルト
整備時の点検要領

クランクシャフトプーリーセンターボルト(以下、センターボルト)の締付け時の作業要領について連絡致します。

対象型式

次のエンジン搭載の全車両。

  • ガソリンエンジン:3G8、3B2、4A3、4A9、4G1、4G6、4G9、4B1、6A1、6B3、6G7、8A8
  • ディーゼルエンジン:4D5、4D6、4M4

取付け時の作業要領

次項以降参照。

<注意事項>
 センターボルトの緩み、及び折損を防ぐため、次の事項に注意して作業する。

  • 各部品に砂などが付着したまま締付を行わないように、作業iを確実に実施する。
  • 締付トルク又は、締付角度が規定値以上になった場合は、センターボルトを完全に緩めた後、手順(1)からやり直す。
  • 締付けにインパクトレンチを使用しない。
  • バルブタイミング調整、A/T取付け時のボルト位置合わせ等の整備作業で、センターボルトにレンチ等をかけてクランクシャフトを回す場合、絶対に緩み方向へ回さない。

1.作業要領

センターボルトの締付を実施する場合、作業i→iiの順に実施する。

【作業i】 表1に示す機種別の「前処理」に従って、次の作業を行う。
○印部:ウエスで汚れを拭き取る。
*印部:ウエスで汚れを拭き取った後、脱脂を行う。
●印部:ウエスで汚れを拭き取った後、最小限のエンジンオイルを塗布する。

【作業ii】 表1に示す機種別の「締付方法」に従って、「トルク締付法」または「回転角度法」の何れかでセンターボルトを締付ける。各々の締付法による手順は2項の通り。

2. 締付方法

センターボルトの締付方法は2種類あり、表1の「締付方法」に従って締め付ける。

  • (1)
    トルク締付法による締付手順
    手順(1) 表1の「締付条件」で締付ける。
    手順(2) 完全に緩める。
    手順(3) 手順(1)をもう一度行う。
  • (2)
    回転角度法による締付手順
    手順(1) 表1の「締付条件」に示すトルク(N・m)で締付ける。
    手順(2) センターボルトの一角とクランクシャフトプーリーに、表1の締付条件に示す締付角度になるようにペイントマークを付ける。(図A参照)
    注:ワッシャーは供回りする可能性がある為、必ずプーリーにペイントマークを付ける。
    手順(3)センターボルトのペイントマークと、クランクシャフトプーリーのペイントマークが一直線上になるように締付ける。(図B参照)
    手順(4) 完全に緩める。
    手順(5) 手順(1)~(3)をもう一度行う。
    注:1回目に付けたペイントマークと混同しないように注意する。
図A 図B

(参考:60°の場合は、ボルトの角部と隣の角部がなす角として差し支えない。)

■ 表1.機種別作業要領一覧
機種 分類 前処理 締付方法 締付条件
3G8 H20系、H30系、U40系 図4 トルク締付法 98N・m →完全に緩める→ 98 N・m
H40系、H80系、U60系、H90系、U70系 図3 トルク締付法 123N・m →完全に緩める→ 123N・m
3B2   図1 回転角度法 50N・m + 60° →完全に緩める→ 50N・m + 60°
4A3   図3 トルク締付法 123N・m →完全に緩める→ 123N・m
4A9   図1 回転角度法 50N・m + 60° →完全に緩める→ 50N・m + 60°
4G1 M12ボルト 図4 トルク締付法 135N・m →完全に緩める→ 135N・m
M12ボルト(CJ0A系) 図4 回転角度法 132N・m + 45° →完全に緩める→ 132N・m + 45°
M14ボルト 図4 トルク締付法 181N・m →完全に緩める→ 181N・m
4G6   図4 トルク締付法 167N・m →完全に緩める→ 167N・m
4G9   図3 トルク締付法 186N・m →完全に緩める→ 186N・m
4B1 M14ボルト(ノンターボ) 図2 トルク締付法 210N・m →完全に緩める→ 210N・m
M16ボルト(ターボ) 図2 回転角度法 110N・m + 60° →完全に緩める→ 110N・m + 60°
6A1   図3 トルク締付法 177N・m →完全に緩める→ 177N・m
6B3   図3 回転角度法 110N・m + 60° →完全に緩める→ 110N・m + 60°
6G7   図3 トルク締付法 185N・m →完全に緩める→ 185N・m
8A8   図4 トルク締付法 186N・m →完全に緩める→ 186N・m
4D5   図4 回転角度法 50N・m + 90° →完全に緩める→ 50N・m + 90°
4D6   図4 トルク締付法 167N・m →完全に緩める→ 167N・m
4M4 4M40 図2 トルク締付法 230N・m →完全に緩める→ 230N・m
4M41(V68W、 V78W) 図2 トルク締付法 323N・m →完全に緩める→ 323N・m
4M41(V88W、 V98W) 図2 回転角度法 50N・m + 90° →完全に緩める→ 50N・m + 90°

○:ウエスで汚れを拭き取る。
*:ウエスで汚れを拭き取った後、脱脂を行う。
●:ウエスで汚れを拭き取った後、最小限のエンジンオイルを塗布する。

図1

図1

図2

図2

○:ウエスで汚れを拭き取る。
*:ウエスで汚れを拭き取った後、脱脂を行う。
●:ウエスで汚れを拭き取った後、最小限のエンジンオイルを塗布する。

図3

図3

図4