ピットマンアームボールジョイント点検整備要領の連絡
ピットマンアームボールジョイントの点検整備要領についてお知らせ致します。
泥濘地や未舗装路などの悪路を日常的に走行する場合など、厳しい走行環境下で使用されている車両で、下表に記載の操舵方式にインテグラル型ボールナット式を採用している、高年式の長期使用車において、ピットマンアームボールジョイント部が腐食・摩耗している場合があり、そのままの状態で継続使用されると腐食・摩耗の進行により当該ジョイント部が破損、ステアリング操舵ができなくなり、走行不能や事故につながるおそれがあります。
操舵系部品のロッド・アーム類の緩み、がた、損傷及びボールジョイントのダストカバーの亀裂、損傷の点検整備は、法令でも定められており、怠ると故障の原因となりますので、法令点検時には確実な点検整備の実施をお願い致します。
対象型式
車両名称 | 型式 | |||
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パジェロ | L041G、L043G、L044G、L046G、L048G、L049G、L141G、L144G、L146G、L149G、 V14V、V21W、V23C、V23W、V24C、V24V、V24W、V25C、V25W、V26C、V26W、V34V、 V43W、V44W、V45W、V46V、V46W、V55W |
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ストラーダ | K34T、K74T | |||
チャレンジャー | K94W、K96W、K97W、K99W |
点検整備要領
(1) ステアリングリンケージ全般について、可動部を操舵力の伝わる方向に手で揺するなどして、ロッド・アーム類に異常がないか点検する。
<<注意>>
連結部のがた、取付け部の緩み、曲り及び損傷、割りピンの欠損等を確認する。
特に各ボールジョイントのがたに注意すること。
手感等にて異常が確認された場合には、部品を交換すること。
(2) ステアリングリンケージの各ダストカバーに亀裂、損傷がないか点検する。
<<注意>>
亀裂、損傷がある場合には、ダストカバー内に泥水等が浸入しているおそれがあるため、ボールジョイントごと交換すること。また、ゴムの硬化やひび割れ、シール部の口開きがないか等、シール性が十分に確保されているかを入念に点検すること。
ダストカバーはゴム部品のため、経年による劣化は避けられない現象であり、また、対象車はオフロード走行の頻度が高い車両であることから、5年毎の交換を推奨する。
(3) ピットマンアームボールジョイントに異常がないか点検する。
- 車両をリフトアップし、ピットマンアーム及びアイドラアームのリレーロッドとの締付けナットを緩め、ナットは取外さずに仮止めしておく。
- ピットマンアーム及びアイドラアームのスタッド(テーパー)からリレーロッドを抜く。
備考:ナットは仮止めしてあるため、リレーロッドは落下しない状態となっている。 - 仮止めしたナットを外し、アイドラアーム、ピットマンアームの順にリレーロッドを取外す。
- ボールスタッド部のダストカバーを上側に押し上げ、スタッド部のグリースを拭き取る。
スタッドのダストカバーリップとの当り面に摩耗(凹み)がないか点検し、摩耗が確認できる場合は交換する。

【点検方法】
- 指先または針金の先等でスタッドとダストカバーリップ部との当り面を全周点検する。

【判定基準】
- 手感にてスタッドに摩耗(凹み、引掛り等の違和感)が確認できる場合は、ピットマンアームを交換する。
- スタッドのダストカバーリップ部との当り面に摩耗(凹み)がなく、近傍のスタッド表面と同様に平滑である場合は再使用可。
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(5)点検終了後、復元する際は、ダストカバーリップ部へ指定グリース※を塗布の上、アイドラアーム及びピットマンアームを再組付けし、規定トルク(44N・m)にて締付けする。

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(6)再組付け後、ボールジョイントのグリースニップルより指定グリース※を充填する。
- 指定グリース:
二硫化モリブデン系シャシーグリース
(昭和シェル石油 シェルサンライトグリースMB2又は相当品)
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注:ダストカバーリップ部がリレーロッド面に確実に接触し、隙間がないことを確認する。
(4) 各ボールジョイントの給油塗布箇所(グリースニップル)にグリースを注入する。
<<注意>>
指定グリースについては、弊社発行の整備解説書を必ずご確認ください。