マルチリンク式サスペンション車のラテラルロワーアームのガタ点検要領
本内容については、03年11月号(No.400)と、10年2月号(No.475)に掲載済みですが、広く継続して周知するため、再度ご案内いたします。
対象形式
E50、E70、E80系(ギャラン、エテルナ、エメロード) F30、F40系(ディアマンテ)
EA0、EC0系(ギャラン、レグナム、アスパイア) D30系(エクリプス、エクリプススパイダー)
使用工具

- てこに使用できる工具(全長270mm程度のドライバー状のもの)
- ダイヤルゲージ(マグネットスタンド含む)
- おもり(20kg程度:ホイール付タイヤ等)
- ノギス又はスケール
点検要領

-
(1)車両を直進状態でリフトに搬入する。
-
(2)ステアリングホイールが中立位置にあることを確認後、イグニッションキーを抜き、作業しやすい高さまでリフトアップしタイヤを外す。
-
(3)ボールジョイントのダストカバーに破れがないか、目視及びカバーを指で押して点検する。破れがある場合は、ラテラルロワーアームを交換する。
-
(4)測定中のガタつき防止のため、ブレーキローターをホイールナット2点で固定し、1本が車体真下方向にあることを確認する。
-
(5)ハブの中心が作業者の目の高さとなるようにリフトアップする。
-
(6)ホイールナット部に20kg程度のおもり(ホイール付タイヤ等)をひもで吊り下げる。

注意
重りを吊り下げる際は、落下しても問題ない高さで吊り下げること。
-
(7)ブレーキローターにマグネットスタンドを取付け、図示のようにダイヤルゲージをボールジョイント底面中央部にセットする。(測定のバラツキを小さくするため。)
-
(8)工具の先端をナックル(ラテラルロワーアームとコンプレッションアームボールジョイント間のナックル平面部)に当て、ダンパーフォーク通しボルトを支点に、てこの原理を利用してナックルハブ側の持ち上げ(操作力 20kg程度)、おろし(操作力0kg)を3、4回連続して行い、ガタ量を測定する。その測定による最大振幅値をガタ量とし、限度値をオーバーした場合はラテラルロワーアームを交換する。(限度値については■測定基準の項を参照。)

注意
- ナックルハブ側を工具で持ち上げる際は、工具が外れてけがをする恐れがあるので注意すること。
- 作業中に工具でブーツに傷を付けないこと。(工具を差し込みすぎるとコンプレッションロワーアームのブーツリップを傷付ける恐れがあるため注意すること。)
- 測定結果は指定の用紙に記録すること。

<記録例>
ラテラルロワーアームガタ量
ボールジョイントタイプ:B
左側:0.05mm
右側:0.12mm(交換)
測定基準
ガタ量が基準値を超える場合にはラテラルロワーアームを交換する。
限度値:0.5mm<タイプA>
0.1mm<タイプB>
ボールジョイントのタイプについては下表参照。なお、ギャラン、エテルナ、エメロード(E50、E70、E80系)、エクリプス、エクリプススパイダー(D30系)はボールジョイントが2種類あるため、ノギス又はスケールでロワーキャップ部径(図示寸法d)を測定し、確認する。

ボールジョイントタイプ | キャップ部径d (mm) |
限度値 mm (μm) |
---|---|---|
タイプA | 29~30 | 0.5(500) |
タイプB | 32~35 | 0.1(100) |
通称名 | ボールジョイントタイプ |
---|---|
ギャラン、エテルナ、エメロード(E50、E70、E80系) エクリプス、エクリプススパイダー(D30系) |
タイプA又はタイプB |
ギャラン、レグナム、アスパイア(EA0、EC0系) ディアマンテ(F30、F40系) |
タイプB |