ブレーキ部品の取扱い上の注意事項について

フロントディスクブレーキ廻りの整備再組み付けの際、不適切な作業で、キャリパーのスライド固着やブレーキ引き摺り状態となる場合があります。この状態で継続使用されますと、最悪の場合、ブレーキパッドの偏摩耗やブレーキディスクローター割れなど、様々な不具合が発生するおそれがあるため、整備作業時の注意事項についてお知らせします。

整備時の注意事項

ブレーキ部品の洗浄、再組付を行う際には以下について作業注意頂きたく、よろしくお願い致します。

  1. ブレーキクリーナ(洗浄油)等のケミカル用品を使用する場合の注意事項(図1参照)
    • (1)
      ブレーキクリーナ(洗浄油)等のケミカル用品を使用する場合はゴムブッシュ等のゴム部品に吹き付けない。付着した場合は拭き取り乾燥させる。
    • (2)
      キャリパースライドピン穴部を洗浄した場合は 穴内部に吹付けたクリーナーが乾燥するまで組付けはせず、穴内部に油類がないことを確認の上、ピン側にグリスを塗布して組付ける。
    • (3)
      キャリパースライドピン部、ピストンシール部などに塗布するグリスは整備解説書にて指定のグリスを使用する。また、グリス塗布量は、スライドピンが十分奥まで挿入出来ることを確認し、入れ過ぎに注意する。
  1. ブレーキパッド、キャリパー、ディスクローター等の交換作業する場合の注意事項(図2参照)
    • (1)
      ブレーキパッドを交換した時は、キャリパーのロックピンとガイドピンのスライド量に差がないことを確認する。(スライド量に差があったまま組付けすると片側のピンスライドが固着状態となり、ブレーキの引き摺りが発生し、ディスクローター割れ等に至る場合がある。)
    • (2)
      ディスクローターを再組付けする際は、正しくハブにあてがい、軽くブレーキペダルを踏み、パッドがディスクローターを正しく掴んでいることを確かめてから、ホイールを組み付ける。(キャリパーのロックピンとガイドピンのスライド量を均一にするための作業です。)

上記に加え 作業終了時はブレーキ引き摺り状態でないことを確認の上 作業終了とする。

図1.キャリパー分解図、図2.キャリパーのピンスライド量の差