クランクシャフトプーリーセンターボルト整備時の点検要領
2011年1月に当ホームページで連絡しておりますが、注意事項及び機種追加のため、クランクシャフトプーリーセンターボルト(以下、センターボルト)の締め付け時の作業要領について連絡致します。
対象型式
次のエンジン搭載の全車両。
- ガソリンエンジン:3G8、3B2、4A3、3A9、4A9、4G1、4G6、4G9、4B1、4J1、6A1、6B3、6G7、8A8
- ディーゼルエンジン:4D5、4D6、4M4、4N1
取り付け時の作業要領
次項以降参照。
<注意事項>
センターボルトの緩み、及び折損を防ぐため、次の事項に注意して作業する。
- 各部品に砂などが付着したまま締付を行わないように、作業iを確実に実施する。
- 締付トルク又は、締付角度が規定値以上になった場合は、センターボルトを完全に緩めた後、手順(1)からやり直す。
- 締付けにインパクトレンチを使用しない。
- 締付作業実施前にはワッシャ/プーリなどセンターボルトによって締め付けられている部品の状態を確認し、変形/摩耗などあれば交換する。
- 締付後に行うベルト張り作業においては張力が規定管理値内にあることを確認する。
- バルブタイミング調整、A/T取付け時のボルト位置合わせ等の整備作業で、センターボルトにレンチ等をかけてクランクシャフトを回す場合、絶対に緩み方向へ回さない。
1. 作業要領
センターボルトの締付を実施する場合、作業i→iiの順に実施する。
【作業i】
表1に示す機種別の「前処理」に従って、次の作業を行う。
○印部:ウエスで汚れを拭き取る。
*印部:ウエスで汚れを拭き取った後、脱脂を行う。
●印部:ウエスで汚れを拭き取った後、最小限のエンジンオイルを塗布する。
【作業ii】
表1に示す機種別の「締付方法」に従って、「トルク締付法」または「回転角度法」の何れかでセンターボルトを締付ける。各々の締付法による手順は次の通り。
2. 締付方法
センターボルトの締付方法は2種類あり、表1の「締付方法」に従って締め付ける。
-
(1)トルク締付法による締付手順
手順(1) 表1の「締付条件」で締付ける。
手順(2) 完全に緩める。
手順(3) 手順(1)をもう一度行う。 -
(2)回転角度法による締付手順
手順(1) 表1の「締付条件」に示すトルク(N・m)で締付ける。
手順(2) センターボルトの一角とクランクシャフトプーリに、表1の締付条件に示す締付角度になるようにペイントマークを付ける。(図A参照)
注:ワッシャは供回りする可能性がある為、必ずプーリーにペイントマークを付ける。
手順(3) センターボルトのペイントマークと、クランクシャフトプーリのペイントマークが一直線上になるように締付ける。(図B参照)
手順(4) 完全に緩める。
手順(5) 手順(1)~(3)をもう一度行う。
注:1回目に付けたペイントマークと混同しないように注意する。
機種 | 分類 | 前処理 | 締付方法 | 締付条件 |
---|---|---|---|---|
3G8 | 98MY H20系、U40系以前 | 図4 | トルク締付法 | 98N・m →完全に緩める→ 98 N・m |
99MY H40系、U60系以降 | 図3 | トルク締付法 | 123N・m →完全に緩める→ 123N・m | |
3B2 | 図1 | 回転角度法 | 50N・m + 60°→完全に緩める→ 50N・m + 60° | |
4A3 | 図3 | トルク締付法 | 123N・m →完全に緩める→ 123N・m | |
3A9/4A9 | 図1 | 回転角度法 | 50N・m + 60°→完全に緩める→ 50N・m + 60° | |
4G1 | M12ボルト | 図4 | トルク締付法 | 135N・m →完全に緩める→ 135N・m |
M12ボルト(CJ0A系) | 図4 | 回転角度法 | 132N・m + 45°→完全に緩める→ 132N・m + 45° | |
M14ボルト | 図4 | トルク締付法 | 181N・m →完全に緩める→ 181N・m | |
4G6 | 図4 | トルク締付法 | 167N・m →完全に緩める→ 167N・m | |
4G9 | 図3 | トルク締付法 | 186N・m →完全に緩める→ 186N・m | |
4B1/4J1 | M14ボルト(ノンターボ系) | 図2 | トルク締付法 | 210N・m →完全に緩める→ 210N・m |
M16ボルト(ターボ系) | 図2 | 回転角度法 | 110N・m + 60°→完全に緩める→ 110N・m + 60° | |
6A1 | 図3 | トルク締付法 | 177N・m →完全に緩める→ 177N・m | |
6B3 | 図3 | 回転角度法 | 110N・m + 60°→完全に緩める→ 110N・m + 60° | |
6G7 | 図3 | トルク締付法 | 185N・m →完全に緩める→ 185N・m | |
8A8 | 図4 | トルク締付法 | 186N・m →完全に緩める→ 186N・m | |
4D5 | 図4 | 回転角度法 | 50N・m + 90°→完全に緩める→ 50N・m + 90° | |
4D6 | 図4 | トルク締付法 | 167N・m →完全に緩める→ 167N・m | |
4M4 | 4M40 | 図2 | トルク締付法 | 230N・m →完全に緩める→ 230N・m |
4M41 DID(V68W, V78W) | 図2 | トルク締付法 | 323N・m →完全に緩める→ 323N・m | |
4M41 DIDC(V88W, V98W) | 図2 | 回転角度法 | 50N・m + 90°→完全に緩める→ 50N・m + 90° | |
4N1 | 図5 | 回転角度法 | 250N・m →完全に緩める→ 110 N・m + 60° |
○:ウエスで汚れを拭き取る。
*:ウエスで汚れを拭き取った後、脱脂を行う。
●:ウエスで汚れを拭き取った後、最小限のエンジンオイルを塗布する。