コルトRALLIART Version-Rのリヤブレーキ引き摺り
発生時の点検要領
リヤブレーキに引き摺りが発生した場合、ブレーキホースの閉塞が原因となっている可能性があります。
これはブレーキホースを長期間交換せずに継続使用している場合、ホースの中間金具の内側に錆などが堆積することで金具内側のゴムホースを圧迫し、ホース内部が閉塞し、ブレーキペダルを戻しても中間金具下流側に残圧が発生するためです。
ホースの閉塞は中間金具部の温度が低い状態では発生し難いため、修理時に冷えていると再現しないことから見過ごされ、その後の使用過程で再発する事例が発生しております。
つきましては、リヤブレーキ引き摺り発生時の点検要領についてご連絡いたしますので、適切な点検・部品交換をお願いします。
対象車種
コルト RALLIART Version-R (型式 CBA-Z27AG)
リヤブレーキ引き摺り発生時の点検要領
- ブレーキホースの中間金具が冷態(室温)になるまで車両を放置する。
- リフトアップした状態でリヤホイールを取り外す
- 中間金具が冷態時のリヤブレーキ引き摺りを確認する。
-
a.エンジンを始動させブレーキペダルを踏力150N以上で10秒間踏み続ける。
-
b.ブレーキペダルを離して20秒以内に、ばねばかりを使用して前進方向のハブの回転摺動抵抗を測定する。
-
- 中間金具が温態時のリヤブレーキ引き摺りを確認する。
家庭用ドライヤー(1000~1200W程度)でブレーキホース中間金具を手で触れなくなる程度(50~60℃)に温める。中間金具の温度が下がると引き摺り力も低下するため、下記(a)、(b)項は1分以内に実施する。
<注意>
ドライヤーの温風は高温となるため、中間金具近傍にあるリヤABSセンサー固定用の樹脂クリップを変形・溶解させないよう、予め外しておく。ドライヤーは中間金具から約50mm離して使用し、15~20秒加温するごとに、中間金具の温まり具合を確認しながら徐々に加温すること。
ゴムや樹脂部品を溶かす恐れがあるため、トーチバーナーなどの火気や工業用ドライヤーを使用しないこと。-
a.エンジンを始動させブレーキペダルを踏力150N以上で10秒間踏み続ける。
-
b.ブレーキペダルを離して20秒以内に、ばねばかりを使用して前進方向のハブの回転摺動抵抗を測定する。
-
- ブレーキホースの中間金具が冷態時((3)項)と温態時((4)項)の回転摺動抵抗の差が100N以上ある場合は、ブレーキホースを交換する。回転摺動抵抗の差が100Nを超えない場合は、整備解説書に従ってピストンを分解してピストン摺動部の汚れ、錆、ピストン、シールの劣化及びスライドピンの摺動状態を点検する。