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2025.09.24

和歌山

軽トラックEVの有用性と可能性の高さ

坂口好司さんと三菱ミニキャブ・ミーブ トラック(2013年型)

012YEARS

079,000KM

※お客様より了承を頂戴し、ナンバープレートを隠さず掲載させて頂いております。

太陽光で走っている

理想的な軽トラックEVの乗り方をしている人を和歌山に訪ねた。
三菱ミニキャブ・ミーブ トラックに、新車から12年7万9000km乗り続けている坂口好司さんは、勤め続けてきた通信会社を定年退職してからは数か所に所有している田畑を回って米や梅、みかんなどを栽培している。

その合間に、地域のシルバー人材センターに登録して専門知識を活かして電子機器のメインテナンスを手伝ったりしてきた。
最も離れている畑でも2km、すべてを回っても3kmと走行距離は短くて済む。しかし、農機具や収穫物などを荷台に積むから、どうしてもトラックが必要になってくる。細い畦道を往くので、普通車ではなく軽トラックでなければならない。

ミニキャブ・ミーブ トラックの前に乗っていた軽トラックはエンジン車で、20年近く乗り続けて買い替えた。ディーラーのショールームでミニキャブ・ミーブ トラックのカタログを見ただけで予約注文し、実物には納車されて初めて対面した。
「和歌山県内で最も早く届出されたと聞きました」
なぜ、そんなに急いで欲しくなったのだろうか?

「電気だから環境にも良いだろうし、将来、太陽光発電を自宅で行えば、その電気を使って走れるだろうと考えたからです」
動きは早かった。購入の1年後には、自宅の屋根に太陽光発電パネルを取り付けた。
「ここからは見えませんけど、左側の屋根にパネルが設置されています」
屋根を指さして教えてくれた。
中庭を向いている壁に取り付けられたコンバーターでパネルからの直流電流を交流に変換し、それにつながった分電器で冷蔵庫やテレビ、エアコンなどの家電に電気が分けられて流れている。
築100年の古民家なので分電器も古かったが、その交換工事費用の10万円分を補助する三菱自動車の当時の制度も活用できた。分電器からの一本がミニキャブ・ミーブ トラックにつなげられている。

スゴい!
つまり、移動も含めた坂口さんの日常生活のほとんどのエネルギーは太陽光という再生可能エネルギーによって賄われているのだ。
「夜間や雨天時には、電力会社から送電されたものを使っています」
日照時ならば、エネルギーを自給自足できている。
反対に、電力を取り出すための機器を利用すると、ミニキャブ・ミーブ トラックに蓄えた電気を家庭用に取り出して使うこともできる。以前に地域で停電が起きた時には、ミニキャブ・ミーブ トラックからの電気で3日間、家の電化製品を動かし、電灯を灯すことができた。
再生可能エネルギーで現代の電化生活を送りながら、移動エネルギーも賄えているなんて、なんて理想的なライフスタイルなのだろう。話を聞きながら見せてもらううちに羨ましくなってきた。

「百名山」まで、あと三つ

実は、坂口さんが所有しているのはミニキャブ・ミーブ トラックだけではない。他に、パジェロ、パジェロミニ、eKクロス EVも持ってる。

奥様のクルマを別にすれば、なんと、三菱のクルマを4台も持っている。
そんなにたくさん必要なのだろうか?
「パジェロは遠くの山を登りにいく時に使っています」
パジェロには新車から26年24万5000km乗り続けている。深田久弥が著した『日本百名山』で取り上げられている100の山々に19歳から登り始め、現在は71歳で97の山々に登った。なんとしても、あと3つ登り切りたい。
対照的に、パジェロミニは近くの山々を登る時に使っている。近くならば、ミニキャブ・ミーブ トラックでも用が足りるのではないだろうか?
「後席があって、2人、3人と仲間たちを乗せられるから助かっているんですよ」
クルマには毎日乗るので、ミニキャブ・ミーブ トラックとパジェロミニを交互に乗るようにしている。
「偏らないように乗っています」
バッテリー残量がメーターのインジケーターで半分に減り、走行可能距離が40から50kmと表示されるタイミングで充電プラグを差し込むことにしている。
「あまり減っていなかったり、減り過ぎてしまわないうちに充電するんです。“半分ぐらい”の目安で充電しています」
前述した分電器から伸びたEV充電用コンセントに差し込んでの普通充電だ。高速道路のサービスエリアに設置されているような急速充電器は使わない。
「だから、これだけの年数や走行距離を使っても、バッテリーの劣化を感じることはありませんよ」
メーター内左上のインジケーターで充電量を示すコマが16個表示されて満充電されていることを確認させてもらうと、右上のマルチファンクションディスプレイに走行可能距離も「101km」と表示されていた。

「9月下旬だと、100から110kmの間の値を示すのは、ずっと変わりません」
いくら充電しても走行可能距離が短くしか表示されなくなったら、それはバッテリー劣化だ。
でも、坂口さんのミニキャブ・ミーブ トラックには、その兆候はない。12年7万9000km走っていても、バッテリーはほとんど劣化していないのだ。これには驚かされた。使い方や充電方法などの影響が大きいのかもしれないが、新車の時と変わらないバッテリー性能を示している。
世の中に電気自動車が普及してくる一方で、いざ自分のクルマとして検討を始めた場合にバッテリーの劣化を心配してしまう。
最近ではバッテリー性能が向上し、以前のものよりは劣化が少なくなっているが、乗り方や充電方法がユーザーごとに違っているから、不安を抱き続けてしまう人もいる。
しかし、坂口さんは実際に12年7万9000km走り続けているから、説得力がある。こうした乗り方と充電方法ならば、劣化を最小限に抑えながら、長く使い続けられるのだ。

さらに、坂口さんはこれまでに消耗して交換したパーツの少なさにも驚いている。
「何を交換したっけな?」
手元に用意しておいてくれた整備記録簿などを確認しながら思い出してもらった。それによれば、消耗して交換したのはブレーキフルードとワイパーブレード、補器用バッテリー、そしてタイヤぐらいだった。
エンジンがないからエンジンオイルやフィルターなどは交換しないし、下り坂では回生を強めた“B”モードにシフトするのでブレーキパッドの消耗も少なくて済んでいる。
タイヤは車検ごとに交換して、5セット目を履いている。

「駆動用バッテリーがあって重量が嵩むから、減るのが早いのでしょう」
タイヤ交換の頻度は高いが、それ以外の消耗パーツが以前に乗っていたエンジン車の軽トラックよりも少なく済み、車両代金の差額を相殺しているかもしれない。だから、坂口さんはミニキャブ・ミーブ トラックに大いに満足している。
「これで4輪駆動だったら百点どころか百万点ですよ」
唯一の不満点が、湿った草地でのスリップだ。雨上がりの細い山道などで路面に草が生えているところを走ると、後輪が滑って前進しなくなることがある。

生きていることのありがたみ

ミニキャブ・ミーブ トラックの助手席に乗せてもらって、田んぼと畑に連れていってもらった。軽トラックに乗るのは久しぶりだった。車内空間がミニマムなことが、軽トラックならではだ。

「自分でやっているのは、ときどきの洗車ぐらいです」
普段は助手席にはほとんど誰も乗らないようで、Aピラーのドアが覆っている部分に蜘蛛が巣を張っている。
電気自動車の大きなメリットのひとつに、ガソリンスタンドに行かずに済むことが挙げられる。坂口さんの場合では1kmぐらい離れた近所に一軒あるが、その次だと8km先になってしまう。往復16km。それがなくなった。
自宅で普通充電しているので、バッテリーに負担を掛けずに100%まで充電できる。太陽光で発電しているから、移動エネルギーを自給自足できている。

滑らかに走り出した。音や振動が伝わってこないところが新鮮だ。でも、振動ゼロではない。アスファルト舗装が荒れているところや未舗装部分を走る時には、タイヤと路面が擦れ合う音が聞こえてくる。

最初に、丘を背にしたみかん畑に連れて行ってもらった。猿に食べられないようにフェンスで囲われた中に入れてもらうと、低い木々にみかんがぶら下がっている。坂口さんは、育ち過ぎてしまったものや不要な葉などを手際良く取り除いて手入れを行なっていく。キメ細かさが要求されるはずなのに、流れるように手足が動いていく。僕には真似できない。

みかんをひとつ取り、小刀で素早く皮を剥いた半分を勧めてくれた。口に入れると、酸っぱさの後に甘味と少しの苦味が広がった。ふだんスーパーで買っているみかんより味が強い。
隣接された倉庫には、農機具がたくさん収められていた。使われなくなったステレオなども仕舞われている。
次に田んぼに移動した。近所の家の田んぼに隣接している。トンボがたくさん飛んでいた。
「もっとたくさん飛んでくる時もありますよ」
これよりたくさんのトンボなんて見たことがない。田んぼや畑などに触れたことがなかったので新鮮だった。田んぼからは歩いて自宅に戻れる。

「毎朝、眼が覚めて、起き上がって、生きていることのありがたみを感じています」
昨年に大病を患い、長期入院から戻ってまだ2か月しか経っていなかった。
「退院後に運転しても、違和感のようなものは感じませんでした」
入院中にミニキャブ・ミーブ トラックが車検を迎えるのだが、購入した和歌山三菱自動車販売有田店の担当者である黒井さんが事情を知って引き取りに来てくれたのには感謝している。
退院1か月あまり後には、パジェロに友人たちを乗せて「スターキャンプ」に参加したぐらいに回復している。
「運転することが好きで、実際に毎日運転しています。古いものも好きなんだけど、新しもの好きでもあるんですよ」
ミニキャブ・ミーブ トラックは生産を終了してしまったけれども、坂口さんの使い方を見せてもらって、改めて軽トラックEVの有用性と可能性の高さを考え知らされた。
現在は、日本でもEVが一般的になりつつある段階だから、いわゆる家庭用の乗用ユースが想定され、走行可能距離や急速充電での必要時間などが取り沙汰されることが多くなっている。しかし、軽トラックのような限定的な用途でのEVがもっと注目されても良いと思う。

坂口さんは、いずれミニキャブ・ミーブ トラックのバッテリーの劣化が進んだ時のことも考えている。
「廃車して、庭先に置いて家庭用の蓄電池として活用します。農作業にも使えますしね」  
電気自動車のバッテリーが走行には適さなくなったとしても、電気を蓄えて日常の用途に使うことはできる。
自動車メーカーや自治体などもその点に着目して、さまざまな取り組みを行なっている。坂口さんのように個人でも取り組む人が現れ始めた。クルマの電動化は、さまざまな形で生活の隅々までに行き渡ろうとしている。

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