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2026.04.04

奈良県

実験車から実用車へ

平本英人さんと三菱eKクロス EV(2022年型)

04YEARS

0110,000KM

※お客様より了承を頂戴し、ナンバープレートを隠さず掲載させて頂いております。

i-MiEV(アイ・ミーブ)からeKクロス EVへ

EV(電気自動車)の進化が著しい。以前に、この連載で取材に伺った三菱i-MiEVのオーナーだった平本英人さんから久しぶりにメールをもらった。4年前にi-MiEVからeKクロス EVに乗り換え、そのeKクロス EVも初めての車検を受ける前に10万kmを走破したという近況報告だった。
そのi-MiEVと平本さんの取材は良く憶えている。初の量産型の軽自動車のEVとして発売されたi-MiEVに平本さんは興味津々で購入していた。近郊中心に毎日乗り、自宅の屋根にはソーラーパネルを設置したという使い途にピタリと合っていたこともあって、最終的に7年で26万kmも走った。年間に平均すれば3.7万kmにものぼるハイペースだ。その様子もメールで知らせてくれていた。
そのi-MiEVは、とうとう一度もバッテリー交換をしなかったというのが驚きだった。
eKクロス EVに3年あまり乗って、i-MiEVからの進化がとても大きなことがメールには記されていた。
いったい、eKクロス EVはi-MiEVからどのように進化したのだろうか?
メールは、「3年前に買ったeKクロス EVは、初車検の直前で10万kmを走破しました。ビクともしていません」と書き始められている。詳しく教えてもらうために、奈良に向かった。待ち合わせの駅にやって来たeKクロス EVは、ツートーンのボディカラーだった。ナンバープレートには、奈良らしく鹿や法隆寺の五重塔などがご当地プリントされている。挨拶もそこそこに、助手席に乗せてもらって走り出した。

「カタログの表紙に掲載されているクルマのボディカラーを選びました。表紙には、そのクルマに最もふさわしい色が選ばれているはずです。デザイナーの意図を尊重したいですからね」
雨が降り始めてきて、桜の花びらも舞っている。
「i-MiEVからの進化ですが、まず、この通りインテリアの質感が格段に向上しています」
i-MiEVのメーターパネルがリアルなプラスチック製の針を持つアナログタイプだったのに対して、eKクロス EVはすべてがデジタルで表示される。針など一本もない。これは単に造形だけのことではなく、ドライバーへの情報伝達の構造自体が根本から変わったからだろう。

「シートやダッシュボード、ドア内張りなど、あらゆるところの素材と質感が上がっています、もう、別物ですね」
i-MiEVとeKクロス EVの間には、時間的な経過も大きいから、もはや世代が異なって見えるのも納得できる。
「レバーやボタンなども操作しやすいです」

静かに、滑らかに、力強く加速

丘陵地帯にさしかかって、道はカーブしながら上っていった。エンジン車ならば、こうしたところではエンジン回転が上がり排気音も高まっていくのだろうけれども、eKクロス EVは静かなまま、滑らかで力強く加速していく。EVならではの特長だ。エンジン音がないが故に目立ってしまうボディの風切り音やタイヤノイズも目立たずに抑えられている。これも最新型EVゆえの特長だ。EVを日常生活で使ってみてのフィードバックが着実に反映されている。
「妻はスタッドレスタイヤの山が削れて減ってきたのもわかるくらいセンシティブなのですが、静粛性に関して彼女からクレームが入ったことがありません」
もちろん、平本さん自身もeKクロス EVの走りには満足している。i-MiEVよりも好ましく思っているところがある。回生ブレーキの設定がeKクロス EVの方が気に入っている。
「eKクロス EVは回生ブレーキを弱めるとスーッと走るので、楽なんです。乗りやすくて、走りやすい」
eKクロス EVでは、シフトレバー右横にあるイノベーティブペダルオペレーションモードのボタンで、回生ブレーキの強弱を選べることができる。

「それに対して、i-MiEVは回生ブレーキの強弱ボタンはなく、Dモードでは少し回生が残る設定でした。速度を微調整するために右足首が疲れてしまっていました。eKクロス EVは回生を弱めることができるので、惰性(コースティング)で進んでいくので楽でした」
この点は筆者とは少し好みが違っている。回生ブレーキを使った方が、つまりイノベーティブペダルオペレーションモードをオンにして走った方が運転しやすいと考えてしまうのだ。特に混雑して発信停止が繰り返される街中やアップダウンが連続するような丘陵を走る時に重宝する。アクセルペダルの加減だけでスピードをコントロールできるので、ブレーキペダルに右足を移して踏み込む動作が減る分、筆者は右足の疲れは少なくなるものだと認識している。日常生活の中でEVをどのように使うのかによって、回生ブレーキについての好みも左右されてくるのだろう。
「選択できるというところも、進化していますね」

タイヤも大きく進化

平本さんのeKクロス EVの乗り方は、近距離専用でほぼ毎日乗る。仕事にも、それ以外でも活用している。奥さんの方が運転する頻度は高いそうだ。他にミラージュ・アスティやミニバンもあるので、遠くへ行く際にはそれらを使っている。
「近距離専用ですから、高速道路には乗りません。下道100パーセントです」
駐車場に駐めて、各部分を見せてもらった。偶然だけれども、ボディカラーが散り始めている桜に似合って引き立っている。ミストブルーとカッパーメタリックという有料オプションに設定されている色だ。

「もう一つの大きな進化は、タイヤです」
i-MiEVは前後で異なるサイズが設定されていて、そのどちらもがタイヤショップなどでは入手が難しかった。いつもディーラーで交換していた。eKクロス EVは前後共通サイズの一般的なものが指定されているので、タイヤショップでも選べて交換できている。i-MiEVで困っていたのはスタッドレスタイヤが入手できないことだった。雪が降るのは年に1,2回のことだったが、医療関係の業務に従事しているので、雪を理由に仕事は休めない。その度にチェーンを巻いて対応していた。

エアコン大進化

i-MiEVでは冬も大変だったが、夏も難儀していた。メールには、次のように書いてあった。
「エアコンがんがんで走れます。すごいですねぇ~。i-MiEV の時は夏は暑さに参っていました」
エアコンを効かせながら走ると、電力の消費が大きくなり、航続距離がどんどん短くなっていった。
「どこかで電欠してしまうのではないかと不安になって、エアコンを切って窓を全開にして走っていましたよ」
よほど確実に充電量を確保できている時でなればエアコンを使わずに、窓から入ってくる走行風でしか涼めることができなかったのだ。昨今の猛暑では運転中に熱中症にもなりかねない。
「冬も大変だったんです」
冬は冬で、同じようにエアコンの電力消費量が過大だったので、なるべくエアコンのスイッチを入れないで走っていた。
「エアコンの暖房を使っても、航続距離が一気に半減していました」
何かで身体を暖めないと寒すぎて運転できなかった。社外品の座布団タイプのシートヒーターを買ってきて敷いて腿の裏と尻を暖め、肩から毛布を羽織って運転していた。
「i-MiEVは後期型から電力消費の少ないヒートポンプ式のエアコンに改められるのですが、私のは前期型だったのです」
eKクロス EVは航続距離自体も180km※1と、平本さんの購入したi-MiEVの100km※2から1.8倍も伸びている。eKクロス EVの電費が伸びたり、他のシステムも効率化が図られ、エアコンも別物になった。
「エアコンを使って走っても、それによって短くなる距離は許容範囲内に収まっています。妻も“エアコンを普通に使えるようになった”と、喜んでいます」
エアコンの進化は、日常生活でのメリットが大きい。毎日乗っていれば、なおさらだ。
※1:一充電走行距離:180km
※2:一充電走行距離:120km(Mグレード)

実験車と実用車

電力消費の効率化という点では、ライト類のLED化も挙げられる。
「i-MiEVのヘッドライトは、まだハロゲンタイプでしたから」
LED化は、確実に電力消費を減らす。EVは走行のための動力を電力で賄っているが、クルマ全体での効率化も図られている。i-MiEVからeKクロス EVに発展していく過程でも、多くの改善が進められている。
「i-MiEVは“実験車”でしたが、eKクロス EVは“実用車”です」
平本さんの表現の通り、初の量産型の軽EVとして世に出たi-MiEVは革新的な「三菱 i(アイ)」から引き継いだ部分もあったが、前例のないクルマだった。時代は進み、技術が急速に進化し、EVは普遍性も身に付け始めた。そうして生まれたeKクロス EVは多くのユーザーの実用に応えられるように進化したのだ。
平本さんがi-MiEVで3年で14万4000km走った時の記事を読み返してみると、EVが独自の乗り物であることを次のように強調していることからもわかる。
「それは移動の効率だけでなく、ライフスタイル全体の効率を上げることになります。EVは乗る人のライフスタイルを変えてくれるのです」
同感だ。エンジン車も効率化を図ってはいるが、EVは親和性が高いというか、効能を実感しやすい。筆者は、4年前にeKクロス EVに試乗した時に、それを感じた。運転中の車内が静かな分、高音質で音楽を堪能することができたのだ。それも、自分のスマートフォンをeKクロス EVに接続して、CarPlay経由で音楽サブスクアプリを起動して、ふだん自宅やスマートフォンで聴いている音楽を瞬時にシームレスで楽しむことができた。EVの静粛性の高さを具体的に活用できる時代になったのだ。
また、ナビアプリを使えば、クルマに乗る前にインターネット経由で目的地設定もできる。他にも、いろいろと便利に使える。
平本さんはCarPlayを使ったことがないというので、筆者のスマートフォンを接続してみせようとしたら、接続履歴に複数の履歴が残っていた。
「あっ、家族のスマホだ。ハハハハハハッ」
お父さんだけが便利を享受していなかったのだ。もったいない!
eKクロス EVに限らず、現代のクルマは高機能なだけでなく多機能でもある。毎日乗っている人でも使ったことがなかったりする。デジタルに司られている機能は直接に眼に見えないので、余計に気付きにくい。

平本さんの経験談はとても貴重で有意義なものだった。まだまだEVやPHEVに触れたことがない人がいる一方で、i-MiEVを7年26万km乗り、eKクロス EVでも早くも4年11万kmを走った。乗り方がややハイペースだけれども、EV、特に軽EVが着実に存在感を示してきている代表例のようなオーナーさんだ。

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