最初に、雲海の主成分である「雲」のできかたについて。
雲は、空気中の水蒸気がたくさんの小さな水滴に変わることによって形成されていく。いいですか?「水蒸気が→水滴になって→雲ができる」のである。ポイントはやはり、水蒸気が水滴に変わる瞬間。そのためには、「空気が冷えて、水蒸気が水滴に変わる場合」と「空気中のそもそもの水蒸気量が増える場合」の2つがある。では、これらはどうやって起こるのだろうか?
空気中に含まれる水蒸気は、温度が冷えることで小さな水滴に変化する。
例えて言えば、真夏日に飲むキンキンに冷えた麦茶。グラスの側面に水滴がついているのをよく見ると思うが、それと同じ原理。雲はその水滴の集合体と思えばいい。
空気の冷え方は以下の4つがある。
何らかの“外的要因”により、空気中の水蒸気が目いっぱい増え、飽和することで水滴に変化し、雲になる方法がこれ。蒸し暑い日の満員電車で、窓が曇るあの状況。…と想像すると、なんとも気持ちがむわっとするかもしれないが、仕組みはそれと一緒。
水蒸気の増え方は、以下の4つがある。
ここまで雲のできかたについて話したが、ここからは雲の“天井”の話。
雲が発生しただけでは、雲海になることはできない。雲海になるためには、“雲の上面の高さ”が決まる必要がある。雲はいったん発生すると、上空にむかってどんどん発達・成長していくが、このとき、上空に暖かく乾燥した空気の層があると、雲はそれより上に成長することができなくなる。これを逆転層と言う。
逆転層は、雲が上へ上へと成長するのを止める天井のような役割があり、天井ができることで、縦に成長していくはずの雲が横へと広がり、やがて雲海を形成していく。
雲の上面の高さが決まる仕組みは、以下の5つがある。
これまで説明した雲海ができる条件その1、その2にあわせて、あとは雲の天井より高いところまで登って、雲海を見下ろすだけ。雲の天井が、観察する人より低い位置にできるという条件が揃ったとき、雲海を捉えることができる、というわけである。