「雲海」とひとくちにいっても、タイプは様々。6つの種類がある。
正直、これらを目視だけで判別するのは難しい。でも、出現エリア、季節、前日の気温や天気などをもとにすれば、どのタイプなのか割り出すことができる。
放射冷却により冷えた地面が、空気中に含んだ水蒸気を冷やして霧になる。これを放射霧と呼ぶ。もっともポピュラーな雲海のタイプで、盆地に見られる雲海はほとんどがこのタイプ。とにかく「盆地」を知っておくことがキモ。近所の盆地はどこだ?と思ったみなさんは、今すぐ検索キーを叩いてみよう。
- 朝晩が冷え込み、弱風のときが狙い目
- 全国各地で見ることができるが、盆地(※1)が多い
- 秋に多く発生する
- 局地的にできやすい
※1周囲を山地に囲まれた平坦な地形のこと。松本盆地、甲府盆地、秩父盆地、奈良盆地、京都盆地など、全国に50か所以上ある。
その名の通り、雨上がりに出現する雲海のこと。降雨によって、地面は多くの水分を蓄える。雨が上がって晴れると夜間に気温は下がり、早朝には空気中に含んだ水蒸気が冷えて霧→雲となる。「雨上がりの朝」、「弱風」、「盆地」の3つを頭に入れておけばOKだ。雨は気分を憂鬱にするが、上がったあとに雲海が出ると思えば、感じ方も変わってくるだろう? 雨でテンションが下がっている人がいたら、声を大にして教えてあげよう。
- 全国各地で見ることができるが、盆地が多い
- 秋に多く発生する
- 局地的にできやすい
川や湖などの暖かい水面上に冷たい空気が流れ込むと、水面から蒸発が起きて霧が発生する。これを蒸気霧と呼ぶ。露天風呂好きならすぐに想像できるはずだ。湯船にたち込める、あのもうもうとした湯気。ようは、それである。
- 全国各地で見ることができるが、盆地が多い
- 秋に出現しやすい
- 広範囲にわたってできやすい
冷たい海上や陸地に暖かく湿った空気が移動し、下層から冷やされて発生する霧が移流霧だ。もし移流霧を例えるとしたら…たとえば、和やかな会話の中で空気の読めない人の余計な一言で雲行きが…みたいな。え、分かりにくい?
- 移流してきた空気と水面の温度差がポイント
- 北日本太平洋側(※2)、親潮の影響を受けるエリアで発生する
- 夏に多く発生する
※2北海道の太平洋側(根室・釧路・十勝・胆振・日高・渡島地方)とオホーツク海側(網走・北見・紋別地方)、東北太平洋側(青森県の下北と三八上北地方、岩手県、宮城県、福島県の中通り・浜通り地方)をさす。
暖かく湿った空気が山の斜面をはい上がり、冷やされて発生する霧を滑昇霧(もしくは上昇霧)と呼ぶ。山の上に行けば行くほど涼しくなるように、空気は高度が上がると冷やされる。そう、私が調子に乗って舞い上がるのに比例し、妻の視線が冷ややかになるのと同じだ。
- おもに山地で発生する
- 年間を通して発生する
低気圧や前線の影響で雨が降っているとき、雨による湿度の上昇で低い高度に雲ができる場合がある。このとき、下の雲と上の雨雲の間に隙間ができると、その隙間に雲海ができることがある。それが悪天時の雲海だ。ただ、この雲海はあまり持続せず、すぐ雲の中に入ってしまうことも多いため、もしも見ることができたら幸運の持ち主だ。
- 悪天候時に発生する
- 年間を通して発生する
というわけで、放射霧・雨上がり・川霧、湖霧、蒸気霧・移流霧・滑昇霧・悪天時の雲海といった6つの種類について話をしてきた。
少しばかり小難しい話だったかもしれないが、これを知っていれば、家族や仲間に、“雲海うんちく”を語ることができるぞ。