今回S Editionで採用したビルシュタイン社製ショックアブソーバーは、アウトランダーPHEVがこれまでつくり込んできた乗り心地の良さと静粛性はそこなわず、走行時の安定感をさらに向上させることが狙いです。走り始めにアクセルを踏んで「スッ」と出るのがPHEVの良いところ。ガソリン車とは異なる、スッと出る気持ちの良い加速感に合うスマートな足回りをイメージしてチューニングを施しました。
アウトランダーPHEVの標準モデルは、単にスポーティを演出するのではなく、通勤や週末に家族でドライブするシーンを意識し、運転しても同乗しても快適で安心感のあるチューニングとしています。一方、S Editionはビルシュタイン社製ショックアブソーバーを採用することで、標準モデルのチューニングに加えて、高速域での安定感をワンランク上げています。例えば、高速道路でコーナーを曲がるときや、旅先でのワインディングなど、クルマがロールする際に、これまでとは一味違う安定感があるはずです。
アウトランダーPHEVの足回りは、平坦な道を走らせているときのゆったりした動きは抑え、大きな段差などの激しい衝撃はしっかり逃がすという設定が基本のセットアップの考え方ですが、新しいアウトランダーPHEVでは、新構造のバルブを採用するなど、その基本性能のレベルアップを実現しました。特にS Editionではビルシュタイン社製ショックアブソーバーの特徴である操舵時の剛性感と小さな路面の変化にも追従する応答性の良さを活かすことで、基本とするセットアップの考え方がよりはっきりと認識できるようにチューニングしました。運転をしていてタイヤが路面としっかり接しているインフォメーションが伝わってくるので、ふいにハンドルを切っても不安定さを感じないはずです。それでいて、決してゴツゴツした嫌な硬さはなく、PHEVのスムーズな走行感は失っていません。
アウトランダーPHEVは日本でも販売しますが、欧州も重要なマーケットとなっています。クルマの走行速度域が低い日本と高い欧州。そのどちらでも高い安定性と快適性を両立させるのには苦労しました。例えば、ドイツのアウトバーンでチューニングをして評価を得ても、日本で走らせてみると今一歩というケースやその逆もありました。アウトランダーPHEVはできるだけエンジンをかけずにモーター走行をするSUVです。欧州のような高速域での安定性を向上させつつも、低速域では電動車の「スッと走る」感覚をそこなわないよう、繰り返しチューニングを実施しました。単に足を硬くして限界性能を上げるのではなく、固めるところと緩めるところを見直してアウトランダーPHEVとしてのベストバランスを突き詰め、欧州でも日本でも、ドライバーはもちろん同乗者も、これまで以上に安心・快適でいられることを目指しました。
走行安定性が向上したことによって、アウトランダーPHEVに乗っていただく同乗者の方は、ドライバーの腕がとても良いと感じていただけるかもしれません。それくらい同乗した方にも、快適で安心できる乗り心地を感じていただけると思っています。また、サスペンションに加えボディ剛性も向上しているため静粛性も増し、車内がとても静かで会話もしやすくなっています。SUVだからこそ、ドライバーはもちろん、ご家族やご友人といった同乗する方も含めた乗り心地の良さを大切にしました。進化したアウトランダーPHEVで、旅行やドライブを楽しんでたくさんの思い出を作っていただけたらと思っています。