衝突被害軽減ブレーキシステム[FCM]
FCM: Forward Collision Mitigation system
衝突被害軽減ブレーキシステム[FCM]は、前方車両や歩行者、人が乗車している自転車と衝突のおそれがあると判断したとき、警報とブレーキにより、運転者の衝突回避操作を支援します。

- 安全運転を行う責任は運転者にあります。
FCMは、可能な範囲で衝突被害を軽減または衝突を回避するシステムであり、脇見運転やぼんやり運転などの前方不注意を許容したり、雨・霧などの視界不良を補助したりするものではありません。周囲の状況に応じてブレーキペダルを踏んで減速するなど、常に安全運転に心がけてください。 - FCMは、可能な範囲で衝突を回避できるよう作動しますが、走行状態、道路環境、ハンドル、アクセル、ブレーキの操作など、様々な条件によってその効果は変化し、常に同じ性能が発揮できるわけではありません。
衝突の危険があるときは、システムの作動の有無にかかわらず、ブレーキペダルを強く踏むなどの回避操作を行ってください。 - システムの作動確認をお客様自身が行わないでください。状況によっては、システムが作動しなかったり車両が止まりきれず重大な事故につながるおそれがあります。
FCMの作動
警報時は、ブザーとともに、インフォメーション画面に「ブレーキ!」が表示されます。

FCMは、車両が約10km/hを超える速度で走行しているときに作動します。歩行者や人が乗車している自転車には、車速約10~80km/hの範囲で作動します。
- 状況によっては、警報が鳴らなかったり、聞こえない場合があります。システムを過信せず、衝突の危険があるときは、システムの作動の有無にかかわらず、ブレーキペダルを強く踏むなどの回避操作を行ってください。
- FCMによるブレーキが作動しているときは、制動灯(ブレーキランプ)が点灯します。
- ブレーキ制御中に車体下から作動音が聞こえることがありますが、異常ではありません。
- 運転者の衝突回避操作が不十分で、衝突する危険性が高いと判断したときは、自動的にブレーキの作動を強めます。
-
運転者が衝突回避操作を行っていない場合、やや強めのブレーキを作動させてブレーキ操作を促します。
さらに、衝突が避けられないと判断したときには、ブレーキ制御を自動的に作動させて、衝突被害を軽減または回避します。
ブレーキ制御作動中は、前方衝突警報の作動時と同様、ブザーとインフォメーション画面の「ブレーキ!」表示で注意喚起します。
ブレーキ制御が作動した後、作動したことを示す「FCMブレーキ作動しました」がインフォメーション画面に表示されます。
- FCMはブレーキ制御が解除された直後の約5秒間は作動しません。
- FCMによるブレーキ作動で停車すると、停車してから約2秒後にブレーキ制御が解除され、クリープ現象により自車が動き出します。必ずブレーキペダルを踏んで、自車を停止させてください。
次の場合、FCMのブレーキ制御が解除されます。
- アクセルペダルまたはブレーキペダルを強く踏み込んだとき
- ハンドルを大きく、または素早く切ったとき
- 前方の車両や歩行者、人が乗車している自転車との衝突の危険がなくなったと判断したとき
- システムによるブレーキを通常のブレーキとして利用しないでください。
- 運転者がハンドルやアクセル、ブレーキを操作している場合は、FCMの作動が遅れる、または作動しない場合があります。
- 前方車両と自車の速度の差が小さいときは作動しません。
- ブレーキ制御中にブレーキペダルを踏んだとき、ペダルが固く感じられることがありますが、異常ではありません。さらに踏み込むことで踏み増すこともできます。
- 次のような障害物は検知しません。
- 子供などの背の低い人、動物
- 車いす、子供のおもちゃやスケートボードに乗っている人
- 横切って通過する車両
- 道路脇の障害物
- 駐車車両
- 車速約80km/h以上で走行中は、停止した車両を検知しません。
- 以下の対象物にはシステムが作動しない場合があります。
- 夜間やトンネル内など暗い場所にいる、歩行者や人が乗車している自転車
- 細い車両(二輪車など)
- 近接している複数の対象物
- 次のような場合は、前方の車両、歩行者、人が乗車している自転車を検知できず、システムが正しく作動しないことがあります。
- 夜間やトンネル内などでヘッドライトを点灯していない、あるいはヘッドライトのレンズが極端に汚れているとき
- 夜間やトンネル内などで前方の車両のテールランプが点灯していないとき
- カメラの向きがずれているとき
- 悪天候(雨、雪、霧、風塵、砂塵、吹雪など)で視界が悪いとき
- 前方の車両や対向車などにより水、雪、砂などの巻き上げが発生しているとき
- カーブを走行しているとき
- 勾配の変化があるところを走行しているとき
- 未舗装路など凹凸のある路面を走行しているとき
- センサー周辺に泥、氷、雪などが付着しているとき
- 放送局など周辺の電波源により影響を受けているとき
- カメラ前方のフロントガラスに油膜、水滴、氷、雪などが付着しているとき
- 前方から強い光(太陽光や対向車両のハイビームなど)を受けているとき
- 前方の強い光により前方車両のタイヤの部分が影になり見えにくいとき
- トンネルの出入り口や日陰など、急に明るさの変化が起こったとき
- 歩行者、人が乗車している自転車が、背景と同じ色の服を着ているなど人特有の輪郭が認識できないとき
- 歩行者、人が乗車している自転車が大きな荷物を持っているとき
- 対象物の位置や動きが大きく変化した場合(自車の車線変更・右左折、前方車両の右左折・急ハンドル・急加速・急減速など)
- 前方の車両、歩行者、人が乗車している自転車が急に大きく動いたとき
- 前方の至近距離に割り込んだ車両
- 前方の至近距離に飛び出してきた歩行者、自転車
- 自車の正面から横にずれた位置に存在する車両や歩行者、人が乗車している自転車
- 自車と対象車の速度差が小さいとき
- 起動してから約15秒間
- 最低地上高(地面から車体までの高さ)が極端に低いもしくは極端に高い車両
- 特殊な形状の車両(タンクローリー、サイドカーなど)
- 後端の面積が小さい車両(空荷のトラックや二輪車など)
- 対象物が道路標示(道路上の横断歩道、制限速度などの標示)の近くにいる場合
- 対象物が路面の水たまりの付近にいる場合(周りの風景が水たまりに映りこむなど)
- 複数の対象物同士が近接している場合
- 対象物が建物や街路樹などの影と重なっているとき
- トレーラーをけん引しているとき
- 白っぽい衣装の歩行者、白っぽい衣装の人が乗車している自転車
- 次のような場合は、システムが機能を十分に発揮できないことがあります。
- 滑りやすい路面を走行しているとき
- 勾配のある路面を走行しているとき
- 車両が傾いているとき(後席や荷台に極端に重い荷物を積んでいるとき)
- システムは自動的にセンサーとカメラが正常であるか確認していますが、センサーやカメラ周りを氷や雪が付着していても警告を発しないことがあります。定期的に確認・清掃をしてください。
- 道路や交通状況によっては、予期しないブレーキ作動をするおそれがあります。加速が必要な場合は、アクセルペダルを踏んでシステムの作動を無効にしてください。
- 外部の騒音などにより、警報音(ブザー)が聞こえない場合があります。
- 滑りやすい路面では制動距離が長くなります。
- 前方の車両が右左折した後もシステムが作動し続けることがあります。
- 前方の車両に自車が追い越しのために接近したときにシステムが作動することがあります。
- 道路状況(カーブや交通規制)により対向車両に対して一時的に作動することがあります。
- 以下のような物に反応し、システムが作動する場合があります。
- 歩行者や人が乗車している自転車に形が似ているもの
- 二輪車や車両のテールランプと同じ位置やサイズのもの
- 路面または壁面の模様・ペイント(かすれた道路標示や漢字で構成される特殊な道路標示を含む)
- 前方の道路構造物(トンネル、高架橋、交通標識、車両脇に設置された反射器(リフレクター)、反射シート、ガードレール、電柱や電線、看板)、道路脇の木や建物、照明や影
- 道幅が狭い路地などを走行する際の歩行者や人が乗車している自転車
-
道路脇にある物(道路標識、ガードレール、歩行者、自転車、人が乗車している自転車、オートバイ、車両など)
- 路肩の障害物を避けるため、一時的に自車前方の走行レーンにはみ出したり、近づく歩行者や人が乗っている自転車
- 道路上部にあるもの(低い橋、交通標識など)
- 路面上にある物(線路、格子、鉄板、マンホール、鉄格子など)
- 駐車場内にある物(梁など)
- 走行車線または隣接する車線にある物(歩行者、車両など)
- 走行車線または隣接する車線に近づいてくる物(歩行者、自転車、車両など)
- 走行路にある物(近接する樹木など)
- 次のような場合は、同一車線の車両を検知できないことや他の車線を走行している車両を一時的に検知することがあります。
-
連続したカーブを走行するとき
- 坂道を走行するとき
- 狭い道路を走行するとき
- 工事中の道路を走行するとき
-
- 次のような状況では予期しない作動をするおそれがあるので、システムをOFFにしてください。
- センサー付近のフロントガラスに割れや傷などがあるとき
- 自動洗車機を使用するとき
- リフトアップし、エンジンをかけてタイヤを空転させるとき
- けん引されるとき
- キャリアカーに積載するとき
- サーキットなどでスポーツ走行をするとき
- 整備工場などでシャシーダイナモメーターやフリーローラーなどを使用するとき
- タイヤの空気圧が適正でないとき
- タイヤチェーンを装着しているとき
FCMのON/OFF切り換え
エンジンスイッチの電源モードをONにすると、自動的にFCMはONになります。FCMのON/OFFを切り換えるには、次の手順を行ってください。
-
マルチインフォメーションディスプレイスイッチの
または
を操作して、インフォメーション画面の表示を機能設定画面に切り換えます。
- 上下スイッチを操作して「運転支援システム」を選択した後、ENTERスイッチを押します。
- 上下スイッチを操作して「FCM」を選択し、ENTERスイッチを押します。
- 上下スイッチを操作して「FCM」を選択し、ENTERスイッチを押して、FCMの「ON」または「OFF」を選択します。ENTERスイッチを押すことで、FCMのON/OFFを切り換えることができます。
システムをOFFにすると、
表示灯が点灯し、システムをONにすると、表示灯が消灯します。
システム状態を変更しても、エンジンスイッチの電源モードをONの位置にしたときは、システムはONとなります。
- アクティブスタビリティコントロール[ASC]をOFFにしたときは、FCMが作動しません。
- エンジンを再始動すると、FCMは自動的にONになりますが、エンジン始動直後の約5秒間はFCMが作動しません。
- 安全のため、FCMのON/OFFの操作は停車しているときに行ってください。
警報タイミングを切り換えるときは
インフォメーション画面より衝突警報の警報タイミングを「Near(短)」、「Middle(中)」または「Far(長)」の3段階に切り換えることができます。
FCMの警報タイミングを切り換えるには、次の手順を行ってください。
-
マルチインフォメーションディスプレイスイッチの
または
を操作して、インフォメーション画面の表示を機能設定画面に切り換えます。
- 上下スイッチを操作して「運転支援システム」を選択した後、ENTERスイッチを押します。
- 上下スイッチを操作して「FCM」を選択し、ENTERスイッチを押します。
- 上下スイッチを操作して「検知距離」を選択し、ENTERスイッチを押します。
- 上下スイッチを操作してと警報タイミングの「Near」、「Middle」または「Far」を選択して、ENTERスイッチを押します。
ENTERスイッチを押すことで、選択した警報タイミングに設定が変更されます。
FCMをOFF、またはエンジンスイッチの電源モードをOFFにしても警報タイミングの設定は保持されます。
- 工場出荷時は警報タイミングの設定は「Far」になっています。
警告表示
システムに異常があるときは、その状態によってインフォメーション画面に警告が表示されます。
カメラまたはセンサーの検出が行われないときは
次のような状況などで、システムがカメラまたはセンサーの検出が行われないと判断したときは、一時的にFCMは機能しません。
- FCMセンサー部に汚れ、雨、雪や氷などが付着しているとき
- 悪天候(雨、雪または砂嵐など)のとき
- 前方車両や対向車が路上の水、雪や砂などを巻き上げて走行しているとき
- 交通量が少なく、前方車両や障害物が少ない道路を走行しているとき
表示灯が点灯します。

FCMが作動できる状態になると、表示は消えてFCM機能は自動的に再開します。
表示が消えない場合はセンサーの異常の可能性がありますので、三菱自動車販売会社で点検を受けてください。
- 検知範囲内にある車両や障害物をセンサーが検知できないときに、一時的に「運転支援用カメラ視界不良」が表示されることがありますが、故障ではありません。検知すればFCM機能は再開し、警告表示は消えます。
システムが一時的に作動できないときは
表示灯が点灯してFCM機能は自動的に停止します。表示が消えない場合はシステムの異常の可能性がありますので、三菱自動車販売会社で点検を受けてください。


カメラの補正処理が不完全なとき
表示灯が点灯し次の警告が表示されます。
表示が消えない場合はシステムの異常の可能性がありますので、三菱自動車販売会社で点検を受けてください。
カメラが高温になったときは
表示灯が点灯してFCM機能は自動的に停止します。
- カメラ周辺のフロントガラス内側が曇ったり凍結したりしたときは、デフロスターを使用して取り除きます。もし、カメラ周辺のフロントガラス内側に、ほこりなどが入り込んだ場合は、三菱自動車販売会社にご相談ください。
カメラの温度が規定の範囲内になると、表示は消えてFCM機能は自動的に再開します。
表示が消えない場合はカメラの異常の可能性がありますので、三菱自動車販売会社で点検を受けてください。
システムに異常があるときは
表示灯が点灯してFCM機能は自動的に停止します。

エンジンスイッチの電源モードをOFFにして再度ONにしても再び表示される場合は、三菱自動車販売会社で点検を受けてください。
また、エンジンスイッチの電源モードを繰り返しON/OFFしても、警告表示が消えない場合はカメラまたはセンサーの異常の可能性がありますので、三菱自動車販売会社で点検を受けてください。
- 炎天下での駐車などでカメラまたはセンサーとその周辺の温度が極端に高くなったときに、「FCM点検」が表示されることがあります。
カメラおよびセンサーの取り扱い
フロントガラス上部にカメラ、フロントグリル内側にセンサーが装備され、次のシステムで利用されます。
- 衝突被害軽減ブレーキシステム[FCM]
- 車線逸脱警報システム[LDW]
- オートマチックハイビーム[AHB]
- レーダークルーズコントロールシステム[ACC]
- 先行車発進通知[LCDN]

- システムの正しい作動のため、次のことをお守りください。取り扱いを誤ると、システムが正しく作動せず、重大な事故につながるおそれがあります。
- カメラやセンサー周辺は常にきれいにする
フロントガラスの内側が汚れたときは、三菱自動車販売会社にご連絡ください。 - カメラやセンサーおよびその周辺に強い衝撃を与えない
- カメラやセンサーおよびその周辺に金属製のものを取り付けない
- カメラやセンサーを取り外したり、分解しない
-
カメラおよびFCMカバー付近のフロントガラスに、ステッカー(透明なものを含む)や赤外線カットフィルムなどを貼らない
- FCMカバーは、塗装や改造をしない
-
センサーおよびセンサー周辺にステッカー(透明なものを含む)を貼りつけたり、塗装や改造をしない
- センサー付近にナンバープレートやグリルガードなど取り付けない
- フロントガラスが曇った場合は、デフロスタースイッチを押して曇りを取り除く
- フロントガラスのカメラ前方部分をワイパーで適切に拭き取れない場合は、ワイパーブレードを早めに交換してください
フロントワイパー本体、ワイパーブレードを交換する場合は三菱自動車純正品をご使用ください - カメラ周辺やセンサー周辺が汚れた場合は、中性洗剤を薄めて、柔らかい布に含ませてふき取ります
さらに乾いた柔らかい布でふき取ります - センサー付近に電子機器またはアンテナなど強い電波を発信する機器を取り付けない
- 指定以外のサイズのタイヤを装着しない
または、摩耗差の著しいタイヤを混ぜて装着しない - サスペンションを改造しない
- ダッシュボードの上などに、白い紙や鏡などの反射するものを置かない
- カメラやセンサー周辺は常にきれいにする
- カメラ付近のフロントガラスにひび割れや傷などがある状態では、システムが正しく作動せず、重大な事故につながるおそれがあります。FCMのON/OFFを操作してFCMを停止させ、三菱自動車販売会社で点検を受けてください。
フロントガラスの交換が必要な場合は、三菱自動車販売会社にご相談ください。 - 事故などでセンサーやセンサーの周辺が破損または変形した状態では、システムが正しく作動せず、重大な事故につながるおそれがあります。FCMのON/OFFを操作してFCMを停止させ、三菱自動車販売会社で点検を受けてください。